2020 Fiscal Year Research-status Report
弱視学生の教育環境整備に対する大学教員の態度に関する包括的研究
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19K14296
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
相羽 大輔 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (50735751)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高等教育 / 障害学生支援 / 視覚障害 / 弱視 / ロービジョン / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、弱視学生を例に、高等教育におけるインビジブルな障害学生の学習環境の改善に寄与しようとする研究である。インビジブルな障害学生は大学でも認知度が低く、支援が受けにくい。そこで、修学支援に関わる大学教員に焦点を当て、弱視学生の学習環境整備を促進する(妨げる)ソフト面、ハード面の要因を明らかにする。その上で、弱視学生支援に対する受容的(拒否的)な態度と教員の個人要因との関係を解明する。更に、教員の潜在的態度と顕在的態度の関係を解明することで、弱視学生の学習支援環境の改善への方略を生み出す。 本年度は、新型コロナウィルスの影響により、対人的な調査を想定し、多変量解析に耐えうるデータの収集は困難であった。そのため、昨年度作成したICT環境整備項目の因子構造と、それに及ぼす教員志望学生の態度について再検討を行った。 その結果、まず、弱視学生支援に必要なICT環境整備は、支援機器類の導入に関する内容(支援機器)、試験等でのデータ提供に関する内容(データ提供)、タブレット等の利用許可に関する内容(利用許可)による多次元構造であることが確認できた。そこで、各因子を代表とする項目からなる各下位尺度を作成し、その尺度得点と個人要因(弱視への関心・希望職種・ICT抵抗)との関係を分散分析により検討した。その結果、希望職種は全ての下位尺度に有意な主効果を見出し、いずれも教職志望群の方が環境整備に協力しやすい傾向を示した。関心は支援機器尺度とデータ提供尺度に有意な主効果を見出し、高群の方が環境整備に協力しやすいことを示した。ICT抵抗はデータ提供尺度だけに有意な主効果を見出し、低群の方が環境整備に協力しやすいことを示した。 以上のことから、弱視学生支援に関するICT環境整備が支援機器、データ提供、利用許可の内容からなり、それぞれに対する個人差が明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
概要に記したように、新型コロナウィルス感染症の影響により、大規模な質問紙調査を実施することは困難であった。計画は、大幅に遅れてしまったので、研究期間を一年延長し、次年度から、調査対象・手続きを見直し、当初予定した研究目的を達成できるよう研究計画を修正・改善する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、感染症予防の観点から、大規模な質問紙調査を対面で実施することは困難である。そこで、共同研究者を新たに募集し、研究チームを編成した上で、調査を計画・実施する予定である。調査は、全てオンラインでの質問紙調査に切り替える予定である。 次年度実施する研究については、弱視学生支援におけるICT環境整備に対する大学教員の態度を、顕在・潜在の両側面から検討し、それに及ぼす個人要因についても明らかにすることを予定している。 ただし、前述の通り、調査対象については、変更を行う可能性がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスのまん延に伴い、計画された調査が遂行できなかった。加えて、本務のオンライン授業等の影響により、科研に割くエフォートがなかった。このため、実質、科研費による研究が中断された状況にあり、予算執行が進まなかった。本研究は1年機関を延長して、余裕をもって進める予定である。 このため、次年度からは、研究計画を柔軟に見直しながらも、当初予定した予算執行計画を尊重し、本年度生じた次年度使用額を執行していく予定である。
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Research Products
(1 results)