2020 Fiscal Year Research-status Report
潜在的・顕在的要求に有機的呼応する組織連携型の対話システムの開発・導入
Project/Area Number |
19K14317
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
関 陽介 徳島大学, 高等教育研究センター, 特任講師 (10623704)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 対話システム / チャットボット / 可視化 / ユーモア喚起 / 導入分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は,ユーザとシステム間の親和的な関係構築をするために,ユーザ発話文の一部をシステムが疑似的に聞き間違えることで,ユーモア表現を含んだ聞き返し文を生成する研究を行った.具体的には,Wikipediaと分類語彙表,さらには分散表現を用いた語彙検索によりユーモア表現の変換候補辞書を作成し,聞き間違いの用例調査に基づく単語変換方法を設計した.そして,本学の在学生向け対話システムをモデルケースとして,提案手法に基づく機能を実装した.本学で稼働する在学生向け対話システムの発話履歴を用いた先行研究等との比較評価では,変換位置や変換対象,音韻の類似度や分類項目(出現頻度)などの変換条件を設計することで,提案手法がユーモアの喚起に有効であることを確認できた. 次に,対話システムにおける進学希望者の質問内容と入学後のパフォーマンスの関係を調査するための事前調査として,入試改善を目的とした入学者の入試区分別の追跡調査を行った.具体的には入試区分別に学習・研究等の成果,さらにはこれら成果の違いが何に起因するかを明らかにするために,アドミッション・ポリシーを考慮して入学前後における授業等の意欲・態度や所属学部に関連する学問の興味・関心,学生の資質・能力などを調査した。本調査結果により学生生活における多様な実態が明らかになり,入学者選抜の評価基準・方法などの改善に有用な情報を収集することができた。 最後に,対話システムの導入後の分析支援を目的として,利用状況をネットワークグラフを用いて可視化する研究を進めている.これは質問をノード,質問遷移をエッジ,質問分野やユーザ属性を色で表現して視覚的に利用状況を提供することで,全体傾向などの直感的な把握や予期せぬ発見が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度はユーモア喚起,入学者の追跡調査,対話システムの利用状況の分析支援に関する研究を実施した.そして,成果報告として,学術雑誌に3件採録され,国際会議1件と国内学会1件の口頭発表を行った.そのため,進捗状況は「おおむね順調に進展している。」と判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は対話システムの利用状況の分析支援に関する研究を継続する.ユーモア喚起においては,令和2年度は疑似的な聞き間違いに着目したが,さらに発展させて第三者によるノリツッコミを機械的に介入させることで,ユーモア性を高める研究を進める.追跡調査においては,令和2年度は手作業で実施したが,全学的な展開を考えて追跡調査等の作業を支援するシステム開発を行う.また,得られた研究成果は積極的に学術雑誌への投稿や国際会議等で発表する.
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Causes of Carryover |
コロナの影響により国際会議や国内会議への出張費が不要となったことが大きな理由である.令和3年度は学術雑誌の掲載費,学会参加に伴う出張費,英文校正,被験者募集依頼などを計画している.
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