2022 Fiscal Year Annual Research Report
重度障害児・者におけるウェアラブルデバイスを用いた心理過程測定評価法の開発と応用
Project/Area Number |
19K14321
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本吉 大介 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30712335)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心理過程測定評価 / 重度・重複障害 / ウェアラブルデバイス / 心拍反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は主に次の2点について検討を行い、雑誌論文の発表、学会での研究発表を行いました。①重度・重複障害がある人に対する心理学的介入(臨床動作法)が睡眠に及ぼす影響の評価法、②知的特別支援学校におけるウェアラブルデバイスによって計測された生理指標と学校での様子との関連。 研究成果①では、睡眠の改善を望む重度・重複障害者1名(知的障害・重度肢体不自由)を対象に、週1回心理学的介入(臨床動作法)を実施し、その影響を1か月間ウェアラブルデバイスを使って測定・評価しました。その結果、今回の研究協力者の場合には、心理学的介入によって睡眠時間が有意に長くなることはありませんでした。一方で、曜日の影響が有意にある(月曜日の作業所が楽しみで日曜日の夜は興奮して睡眠が短い)ことが明らかになりました。影響を客観的に評価しながら介入方針を検討できるメリットがあることが示唆されました。 研究成果②では、気持ちが不安定になると授業に参加できなかったり、物に当たるなど不適切な行動がみられる状況の生徒1名を対象として、ウェアラブルデバイスによって睡眠時間やストレス状態を2か月間測定し、学校での様子と関連を検討しました。睡眠の状態やストレス状態と学校での不適応状態が密接にかかわっているとは断言できない結果でした。学校外での出来事、学校内での出来事(苦手な授業や教員との関係)など様々な要因から影響を受けていると推察するに留まっています。一方で、生徒自身がデバイスに表示される数値をもとに、自発的に休息を選択するなどの判断・行動があり、自己管理に役立てられる可能性がうかがえました。 ウェアラブルデバイスを使用することで、対象者の活動を制限することなくデータを収集することが可能となりました。長期にわたって集められたデータの分析、教育活動等への応用については、今後も可能性を検討し続ける必要があります。
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