2021 Fiscal Year Research-status Report
アクティブラーニング型授業における学習のプロセスと成果に基づく支援手法の開発
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19K14322
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
森 裕生 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 助教 (00758617)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学習プロセス / オンデマンド授業 / 視聴状況 / 初年次教育 / 学習支援 / 振り返り / アクティブラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アクティブラーニング型の大学授業を対象とし、学生の学習プロセスに基づいた学習支援方法の検討と開発を行う。本研究は、大学の対面授業を対象としていた。しかしながら、2020年度から続く新型コロナウイルス感染症流行の影響により、対象の授業は原則的に遠隔授業で実施された。そのため、研究計画の変更を行い、オンデマンド授業における学習プロセスにも着目することで研究の幅を広げることとした。
この変更に伴い、2021年度は、オンデマンド授業の視聴状況の分析と論文の投稿を行った。その結果「初年次教育科目におけるオンデマンド授業動画の視聴状況に関する研究」と題した論文が日本教育工学会論文誌に採録された。本論文は、新型コロナウイルス感染症流行下に行われた初年次教育科目のオンデマンド授業を対象に学生の視聴履歴を分析したものである。主な結果として(1)ライティングスキルの授業回は多くの学生が視聴していた一方で全体の9%の学生が半数以上の授業回をほぼ未視聴で受講したこと、(2)授業動画を見返さずに一度の視聴で受講した学生の最終レポート得点が高い傾向だったことなどが明らかになった。 また、この論文はあくまで視聴履歴を量的に検討したものである。視聴行動の意図やより詳細な分析を行うために学生のインタビュー調査を実施した。現在、その成果を整理し論文投稿の準備を進めている。
この他にも、新型コロナウイルス感染症流行以前に取得したデータを活用し、対面授業での学習プロセスの研究も進めた。その成果として「共通教育科目におけるリアルタイムフィードバックの実践と評価:質問文字数の変化に関する検討」と題した論文が日本教育工学会論文誌に採録された。この論文の主な結果として、学生が質問を行う際にその質問をする背景を踏まえるようにフィードバックをしたことで、自身の特性や志向性への気づきに繋がった可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先述の通り、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受け、大幅な研究計画変更の必要が生じた。一方で「オンデマンド授業における学習プロセス」も踏まえたデータ取得・分析に関する論文が採録された。このように、計画変更が生じたことによる全体的な遅れはあるものの、制約のある状況下では着実に進捗していると言える。 本来であれば、2021年度が研究最終年度であったが1年間の延長を行った。2022年度は研究の総括として、原著論文の投稿、国際会議での発表を行う。それらの論文、発表の基盤となる論文が既に採録されており、より研究を発展させるためのインタビュー調査も終了している。これらを踏まえても、2022年度中に研究をまとめることが可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、研究の総括として、原著論文の投稿、国際会議での発表を中心に活動を行う。論文執筆に関するデータは、(1)オンデマンド授業の視聴履歴、(2)LMSのアクセスログ、(3)学生のインタビュー調査を通して既に取得済みである。既に採録された論文は(1)のデータのみを用いたものである。これに(2)、(3)のデータを加えてより発展的な分析を行う。具体的には、(A)視聴履歴やアクセスログなどの情報を用いた学習プロセスの分析と可視化を行い、(B)それに応じた学習支援方法の議論する内容を予定している。 (A)を、論文として2022年度序盤に投稿し、(B)は2022年度後半に国際会議での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
先述の通り、本研究は新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けて研究計画を大きく変更した。次年度使用額が生じた理由は主に以下の2点である。第一に、国内外の学会・会議がオンラインで開催されたため出張旅費の支出がなかったこと。第二に、オンデマンド授業のデータ取得に関しては、所属大学で導入済みの動画配信システム、LMSを利用したことにより、物品費などの支出がなかったことである。 2022年度は、オフラインでの学会・会議の開催が見込まれること等を踏まえて適切に支出を行う。
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Research Products
(7 results)