2021 Fiscal Year Research-status Report
医療系大学生を自己調整学習者に育成するための初年次教育プログラムの開発
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19K14323
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉浦 真由美 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (10829899)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 初年次教育 / 自己調整学習 / 主体的な授業態度 / ラーニング・ブリッジング / リフレクション |
Outline of Annual Research Achievements |
大学に対して予習・復習などの主体的な学習時間を積極的に増加させる取り組みが推奨される中、主体的な学習の評価を授業外の学習時間に着目するのみでは不十分であり、学習を多面的に把握する研究が蓄積されている。そこで、本研究では初年次教育科目を受講した医学部の第一学年のうち、同意が得られた99名(2019年度45名、2020年度54名)を対象として、主体的な授業態度に関する調査を行った。本科目は全15回でライティング、コミュニケーションなど大学で学ぶために必要な基礎的スキルを習得することを目的としている。年度における授業の相違点は、2020年度はオンラインで実施したこと、学ぶスキル(学習方略、目標・学習計画・評価指標設定)および課題に対する個別フィードバックを取り入れた点である。加えて、最終回では自身で設定した評価指標に基づき自己評価を行った。アンケートのうち、ラーニング・ブリッジング(LB) 9項目、主体的な授業態度9項目の得点について年度(2019/2020)と時期(pre/post)により分散分析した結果、LBの交互作用は有意であり(F(1,97)=11.02, p<.01)、2020年度のLB得点低群では時期による単純主効果が有意で、postの得点が上昇していた。主体的な授業態度は年度による単純主効果が有意で(F(1,97)= 25.80, p<.01)、2020年度の得点がpre-postともに高かった。2020年度のリフレクションの分析では、他の科目に架橋して習得したスキルを活用していることが明らかになったとともに、LBとリフレクションの深さに関連があることが示唆された。授業に自己調整学習の要素を取り入れることは主体的な授業態度につながることが示された一方、年度における得点の差は、COVID-19に伴う環境の変化等が潜在している可能性があり、さらなる検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度(2年目)以降、COVID-19の感染拡大防止の観点から、授業はすべてオンラインで実施することになった。そのため、当初計画していた授業方法からオンラインに転換し、研究に取り組んできた。令和3年度(3年目)は、令和元年度(1年目)と令和2年度(2年目)における横断的な分析・評価を行い、授業に自己調整学習の要素を取り入れることによる効果について検証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度(2年目)は授業改善を図り、トピックとして「学ぶスキル」を取り入れたことによる効果が示された。一方で、COVID-19に伴う環境の変化等が効果に影響を及ぼしている可能性が考えられる中、当初計画していた調査内容から確認することはできていない。計画した調査項目ならびに分析内容の修正を図り、さらなる検証を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、計画していた国際学会へ参加できず、支出予定であった学会参加費や旅費を使用しなかった。また、当初データ入力作業等を予定していた人件費・謝金について、感染拡大防止の観点等からアルバイトを雇用できず、支出を削減できた。繰越金については、データ分析・入力作業等の人件費・謝金、国際・国内学会等での研究成果の発表のために活用する。
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