2020 Fiscal Year Research-status Report
障がい対応を多様な背景を持つ全ての学生への学修支援へと発展させるシステムの開発
Project/Area Number |
19K14325
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
西牧 可織 北海道医療大学, 心理科学部, 助教 (70758549)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クラウド / 発話テキスト / プログラミング教育 / データサイエンス / ダイバーシティ教育 / AI / 協働学修 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,新型コロナウィルス感染防止対策の観点から,研究代表者が所属する北海道医療大学情報センターにおいて急遽オンライン会議システム(zoom)を導入して,学生が自宅からオンライン授業を受ける仕組みを構築することになった.本研究の目的である「障がい対応を多様な背景を持つ全ての学生を対象とした学修支援へと発展させる」ために,2019年度から引き続き実施しているクラウド環境を活用した学修支援の取り組みとzoomによるオンライン授業を組み合わせることで,本研究の目的を達成するために有意義であると考えた.例えば,zoomのチャット機能を用いて,音声での会話だけでなく文字情報による授業中の質疑応答を実施したほか,チャット欄にクラウド内に設置した電子ボードのURLを提示し,電子ボード上に学生を誘導し意見を書き込んでもらうことで文字によるコミュニケーション・ディスカッションを実施できるようにした.また,アンケートフォームを用いて,学生が互いに実験者や被験者となる同僚間アンケート調査を取り入れるなど,学生どうしの学びの共有がスムーズにできるようにした。 さらに,2020年度は実施計画「ダイバーシティ教育の観点からの研究へも対応できるような機材も試験的に導入し,学修支援システムの拡張を行う」の観点から,個々の学生が多様な価値観で自由に学びを表現できる教育用小型ロボット(mbot)を導入し,ビジュアルプログラミングを初年次の授業に組み込んだ.また,学修支援の新しい形として,上級年次の学生が教員とともにmbotを活用した授業のデザインに携わるようにすることで,学生自身が学修支援そのものを学び考える機会を設けるようにした.プログラミングの知識はsociety5.0におけるデータサイエンス・AIに関する教育にも直結しており,データサイエンティストの人材育成の一助となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である大学教育に求められる障がい対応を、多様な背景を持つ全ての学生を対象として学修支援へと発展させるために、2019年度は障がい対応として導入した発話・テキスト変換システム活用して、講義において学生発表の発話データを取得した。さらに、発話における変換傾向を分析し,講義室などの環境を考慮することや正しく変換されやすい発話の工夫を示すまでに至った。2020年度は急遽オンライン授業が主となり、グループ討議や学生の発話情報の取得などが難しくなった。そこで、オンラインの特徴を活かしながら、全ての学生を対象とした学修支援へと発展させることに着目した。例えば、オンライン会議システムのチャット機能とクラウド上の電子ボードやアンケートフォームを活用した同僚間アンケート調査を組み合わせることで、学修支援を行うことができた。 また、視覚的、聴覚的にも、個々の学生が多様な価値観で自由に学びを表現できる教育用小型ロボット(mbot)を導入し,初年次および上級年次の授業においてプログラミングの学びに活用することができた。また,学修支援の新しい形として,上級年次の学生が教員とともにmbotを活用した授業のデザインに携わるようにすることで,学生自身が多様な背景を持つ学生への学修支援を学び考える機会を設けることができた。また、プログラミングの学びはsociety5.0において文理問わず必要とされるデータサイエンス・AIに関する教育にも直結しており,データサイエンティストの人材育成の一助となると考えられる。 以上、オンラインならではの方策で研究を進めることができたことから「おおむね順調に進展している」と評価を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度からオンライン授業が導入されたこと,2020年度「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」(以下,DX推進計画)実施機関に本学が採択されたこと、さらに,2021年度より本学の全学部の1年生がパソコン必携になったことにより,学生の学修環境が1年で大きく変わることとなった.新型コロナウィルス感染防止対策の観点からも,全ての学生に対するオンライン上での学修情報の提供や共有は非常に重要度が増している。2021年度はオンラインならではの画像・音声・文字情報による表現に加え,様々な視点から学生どうしの共同作業・情報共有の場を拡張して,学修支援コンテンツとして提供する仕組み作りを実施したい. DX推進計画におけるAI活用として,これまでの取り組みで得たテキスト化された発話データ(以下,発話テキスト)などの学修ログをAIで解析するなど,多様な学生個人に最適化された教育の実現を目指す。また,教員側のAI活用だけでなく,学生自身の数理・AI・データサイエンススキルを醸成する。2020年度に実施した教育用小型ロボットの活用によるプログラミング教育に、ロボットに接続したセンサから取得した数値データを活用したデータ分析や発話テキストも含めた文字データの機械学習など発展的な内容を取り入れる。これによって、学生個々の多様な学びの表現を保ちながら,数理・AI・データサイエンススキルの醸成を目指す.
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Causes of Carryover |
2020年度は,新型コロナウィルス感染防止対策の観点から,オンライン授業により,学生の発話を学内の教室等の機器を整備して取得する機会が大幅に減ったこと,大学として,クラウド環境も含め,オンライン授業に関する設備が整備されたことにより,次年度使用額が生じた. 一方で,2020年度後期より一部授業が対面で実施可能となったものの、感染防止対策として、グループワークなどで機材等を複数人で同時に共有して使用することが難しくなった.そのため,2021年度は,教育用ロボットなど学生が対面授業で使用する機材について,可能な限り受講生1人に対し1台貸与できるよう追加購入をしたい.また、DX推進計画における学生自身の数理・AI・データサイエンススキルを醸成するための機材として、ロボットに接続するセンサやカメラなどデータ取得・分析のための機材も購入したい. また,2021年度より全学部の1年生がパソコン必携になったことにより,全ての学生に対するオンライン上での学修情報の提供や共有は重要度が増している。2021年度はオンラインならではの画像・音声・文字情報による表現や情報提供をするための,スマートスピーカーやネットワークカメラなどのIoT機器の購入など,オンラインの利点を生かして多様な学生に向けた学修支援コンテンツを作成するための機材購入に使用したい。
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Research Products
(5 results)