2019 Fiscal Year Research-status Report
児童を対象としたプログラミングを活用した教育が与える能力の分析と評価
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19K14328
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
齋藤 大輔 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (80779091)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プログラミング教育 / プログラミング学習 / 学習評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではプログラミングを活用した教育が児童の能力にどのような影響を与えるか調査した。調査の方法としては学習到達度を測定することが可能な指標(ルーブリック)とそのルーブリックの評価に活用できるプログラミングに関連したクイズを用いた。また、調査した能力としてプログラミングの基本的な概念である「逐次」、「繰り返し」、「条件分岐」の3つの論理的考え方に加え、「事象分析」、「動作の抽出」、「動作の構築・関数化」、「各要素を用いたプログラムの作成」、「コンピュータ原理の理解」のプログラミング的思考力である。 2019年度の調査としては、小学6年生75名を対象に総合の学習の時間でのプログラミング教育の授業前と授業後に上述したクイズを実施し、その結果をルーブリックを用いて評価した。結果として、「逐次」、「繰り返し」、「条件分岐」のプログラミングの基本的な論理的な考え方は、授業前でも感覚的に理解していることが伺えた。しかし、授業後に大きな能力の向上は見られず、感覚的理解に留まった。今回の調査した授業では「コンピュータ原理の理解」、「動作の構築・関数化」、「各要素を用いたプログラムの作成」の能力が授業後に向上した。 これらのことからプログラミングを活用した教育で育つ能力は授業内容や教え方に依存していることが示唆される。故に、どういった授業や教え方の要素が能力の向上に関与しているかについても調査する必要があり、要素の整理が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進んでいる。理由として、(1)能力を評価するためのルーブリックとクイズの作成を実施。(2)小学校で実施されたプログラミング教育で(1)のクイズを適用し評価を実施した。(3)(2)の結果を元に、(1)のルーブリックを用いて到達段階の評価を実施した。 結果として、論理的な思考以外にもプログラミングを活用した教育は、「動作の構築」や「コンピュータ原理の理解」などのの能力にも影響を与えていることが明らかとなった。このことから、研究は一定の進捗であるといえる。 また、授業の内容や教え方に依存していることが示唆されるので、評価観点の整理を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、次の内容を実施予定・実施中である。(1)2019年度の結果を元にルーブリック・クイズの改善。(2)授業内容や、教え方の要素とプログラミング教育による効果の結びつけ。(3)総合の学習の時間以外での評価の適用。 プログラミングを活用した教育によって育つ能力は授業内容や教え方が影響を与えていることが示唆される。加えて、同一に内容であっても教える人が変わると、児童の能力の向上に差が生まれることが、現在の調査でも見えてきている。故に影響を与える要素の特定が今後の課題である。これらの要素とプログラミングを活用した教育にて育つ能力を結びつけることで、より効果的なプログラミング教育が可能であると考える。
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Causes of Carryover |
評価の体系構築と小学校での調査が中心であったため、2019年度の予算の使用はコンピュータの調達代のみになった。 2020年度の使用計画としては、調査の領域を小学校に限らず、地域でのクラブ活動等での調査も予定している。その際に講師料等に使用する予定である。また、コンピュータを追加で購入しワークショップ等の実施を予定している。
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