2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Dysarthria Simulator for Dental student Eucation in Oral Rehabilitation Science
Project/Area Number |
19K14331
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
飯田 貴俊 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (20747787)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔リハビリテーション / 構音障害 / シミュレータ教育 / 構音リハビリテーション / 舌接触補助床 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会の歯科治療需要の変化から,それまでの歯の形態回復中心の医療サービスは減少し, 在宅・施設・病院への訪問歯科診療における摂食嚥下リハビリテーションや構音リハビリテーション等,口腔機能の回復を目標とした医療サービスへと歯科医療の中心は転換しつつあり,これを担える歯科医師が求められている.本研究では口腔リハビリテーション学教育の標準化に向け,独自に開発した舌運動障害体験用マウスピース型シミュレータ(MISLA)を用いて,摂食嚥下障害と並び歯科領域で特に重要な構音障害(発声時に正しく音を響かせる機能の障害)の理解と評価法,その対処法としての舌接触補助床(嚥下機能や構音機能を補助するマウスピース)の作製方法習得を主眼とした実習プログラムの開発を目的とする。本実習による教育効果が確立されれば,超高齢社会の訪問診療での臨床において高い実践力をもつ歯科医師の人材確保が可能となり,高齢摂食嚥下障害患者の QOL の向上への貢献が期待できる.研究計画に従い、まず方法3の舌運動機能障害体験用マウスピース(MISLA)を用いた実習プログラムの実施からおこなった。MISLAを構音障害体験用に修正し、また準備物品の購入、具体的な研究日程の調整、実施プログラムの作成をおこなった。また、倫理委員会の承認はすでに得ておこなっている。学部5年生に対し、研究実施についての説明、同意書取得、事前テスト、を行った後、5名から12名のグループ毎に研究データ採得をおこなった。事後テストおよび質問紙調査も実施した。研究データの集計、解析をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の進捗としては、まず研究計画に沿って考えると、教材;舌機能障害体験用マウスピース型シミュレータ(MISLA)の開発がおこなえている。予備試験にて設計した MISLA を,本実習に適したデザイン,材料に改良した.学生実習は限られた時間と費用の中で進められるため,それに適したデザイン・材料にする必要がある.予備試験での設計を基本として,材料の検討,デザインの微修 を施した試作品を製作し,実習デモンストレーションを通して問題点の抽出,改良を行った.シミュレータ(MISLA)を用いた PAP 体験実習 プログラムの検討も実施した。臨床上の需要に対応した口腔リハビリ教育における到達目標を設定し,実習プログラムを検討した.相互実習プログラムは MISLA 未装着時,装着時,MISLA をPAP に改造した装置(MPAP)装着時の 3 回行う.タスクは,文章音読時および、1分間の自由会話時の会話明瞭度,50音の単音発音時の構音評価,説明-推理課題である.以上を実際の歯科医師教育現場にてトライアル実施した。まず少数の歯科医師を対象に本プログラムを実施し課題抽出や教育効果の評価を行った。さらに対照群に対する演習プログラム実施をおこなった。効果判定のため,本実習プログラムを使用しない講義・試験を 4年生約 100 名全員に行いデータ採得をおこなった。トライアルの評価を参考に教育プログラムの再検討を行い,修正,改良を経て実習プログラム内容を確定させた.実習遂行のための必要物品リスト、学習教材を作成した。介入群に対する実習プログラムも実施した。完成した実習プログラムを歯学部 5 年生約100名に対して実施した.予備研究における結果から算出したサンプルサイズは 44 名であったため,十分な被験者数が確保できている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、口腔リハビリ(特に PAP)臨床の現状に関する実態調査をする予定である。在宅,施設,病院における構音障害患者に対する臨床の現状,特に PAP を適応する上での課題を明らかにするため,口腔リハビリ臨床に従事する歯科医師を対象に,患者の特性実施状況,効果的と思われた症例とそうでない症例等について,質問紙調査を実施する.データ集計・因子分析をその後おこなう。質問紙調査で得られた結果を集計するとともに,歯科介入に関する因子分析を行う. また,口腔リハビリ分野における歯科介入および教育の実態について状況別にデータベースを分類・整理する.解析には購入予定の機器や分析ソフトを用いる.学会発表や論文投稿も検討している。
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Causes of Carryover |
研究自体に遅れはないが、初年度と2年度目の計画を交換して実施したため、初年度にかかるべき経費がかからず、その分2年度目にかかることとなる。計画としてはもともと初年度行う予定だった実施計画を行う予定である。3年度目はもともとの計画通りに実施する予定である。
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