2020 Fiscal Year Research-status Report
他者との相互作用により主体的なキャリア形成能力を育むキャリア教育科目のデザイン
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19K14336
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Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
桑原 千幸 京都文教短期大学, ライフデザイン学科, 准教授 (90587479)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デザイン研究 / 授業設計 / キャリア教育 / eラーニング / 遠隔教育 / オンライン授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
A. 学習者の効力感やキャリア意識は他者との相互作用を通じてどのように変化するのか:2020年度前期および後期のキャリア教育科目において,進路選択自己効力感を把握するための質問紙調査を行った. B. 他者との相互作用を通じたキャリア構築を促進する協調学習方法の要件:これまで,短期大学の初年次キャリア教育科目におけるMoodleを用いた相互評価学習の試行から,課題投稿者の氏名を表示するほうが,他者から評価を受けるやりがいを感じていることがわかっている.そこで,協調学習方法の要件を明らかにするため,他者との相互作用をさらに促すように授業デザインを改善した2018年度のキャリア教育科目における実践の検証を行った.相互評価学習を今後もやってみたいと感じる満足感について一定の効果が得られたものの,評価割り当てや評価対象課題表示方法の工夫,相互コメントを促す足場かけ等について,改善の必要性が浮かび上がった.本成果について,2019年9月の教育システム情報学会全国大会において発表した. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:前段の検証結果をもとに,2019年度の授業デザインを検討した.シラバスおよび授業の初回で「他の受講生とのやり取りを重視した授業」であることを説明し,複数回の授業にわたって掲示板への投稿および他者への評価を段階的に行うことで,意見表明および評価に慣れていき,他者との相互作用を徐々に促進することをねらいとした.2018年度と同様の調査を行っているため,今後前年度との比較によって授業デザインの効果を検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍におけるオンライン授業対応のために予定していた授業実践と検証ができず,進捗が遅れている.研究概要の各項目に照らし合わせた達成度は以下のとおりである. A. 学習者の効力感やキャリア意識の変化の調査:2020年度前期および後期のキャリア教育科目において効力感を把握するための質問紙調査を行い,分析を行った.キャリア意識の変化に関する質的な調査には着手できておらず,全体としてやや遅れている. B. 協調学習方法の要件:2020年度の当該科目をすべてオンライン授業で実施することとなり授業設計に変更が生じたため,デザインしていた協調学習方法を実践できずに遅れている. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:2020年度は前後期ともにオンライン授業となり,改善したデザインによる対面授業を実践できなかった.2021年度は前期のみ開講となり,一部の回がオンライン授業となっているため,やはりシラバス通りの授業実践ができない状況であり,遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
A. 学習者の効力感やキャリア意識の変化の調査:2019年度および2020年度の実践にともない収集したデータの分析を実施する.2021年度も予定通りの実践研究は難しい状況であるが,引き続き調査を行う. B. 協調学習方法の要件:2021年度前期も半分以上がオンライン授業となる見込みであり,改善した協調学習方法を試行することができない.代替策として,オンライン非同期のキャリア教育科目における協調学習方法について,文献等を通じた調査を行う. C. 相互評価学習の授業デザイン検討: 2021年度前期は対面授業として授業デザインを検討していたが,途中でオンライン(オンデマンド)授業となったため,予定通りの実践が困難である.そこで,2018~2020年度の授業実践をもとに,対面授業とオンライン授業の比較という観点から総括的な授業デザインの検討を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により,参加予定の学会がオンライン開催となったため,旅費の支出額がゼロとなった.また,オンライン授業対応により授業実践・検証計画に変更が生じたため,物品費等の支出が予定より少なかった.次年度も学会等の開催が縮小傾向にあるので,分析のためのパソコン,ソフトウェア等の購入に物品費を使用する予定である.
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