2021 Fiscal Year Research-status Report
他者との相互作用により主体的なキャリア形成能力を育むキャリア教育科目のデザイン
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19K14336
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Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
桑原 千幸 京都文教短期大学, ライフデザイン学科, 准教授 (90587479)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デザイン研究 / 授業設計 / キャリア教育 / 協調学習 / 遠隔教育 / オンライン授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,キャリア教育において主体的にキャリアを形成する能力を育むために,応募者のこれまでの研究成果である相互評価学習実践モデルをデザイン研究アプローチにより発展させ,他者との相互作用に重点を置いたキャリア教育科目のデザイン原則を明らかにすることである.本年度も前年度に引き続きコロナ禍の授業実施形態変更にともない,予定通りの実践研究が難しい状況であった.しかしながら,オンライン授業も2年目となるため昨年度の実践から得られた課題をもとの一部授業設計を見直し,実践を行った.研究実施計画の3点に即して,以下詳細を述べる. A. 学習者の効力感が他者との相互作用を通じてどのように変化するのか:2021年度前期のキャリア教育科目において,進路選択自己効力感を把握するための質問紙調査を行った. B. 他者との相互作用を通じたキャリア構築を促進する協調学習方法の要件:これまでの研究成果をもとに他者との相互作用をさらに促進するように授業デザインを改善し,2021年度のキャリア教育科目において実践検証を行う予定であった.しかしながら,感染予防対策として授業回の一部をオンデマンド授業で実施することとなったため,スマートフォンでの受講を前提として授業設計を変更した. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:前段の実践結果をもとに検証を行ったところ,進路選択課題の相互評価前後における進路選択自己効力の有意な変化が見られた.しかしながら,オンライン授業における課題の相互閲覧は積極的には行われず,相互評価学習の促進のための授業方法の改善の必要性が明らかになった. 本成果については,2022年日本教育工学会もしくは教育システム情報学会において発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍におけるオンライン授業対応と,2021年度からのカリキュラム変更による対象科目の変更により,予定していた授業実践と検証ができず,進捗が遅れている.研究概要の各項目に照らし合わせた達成度は以下のとおりである. A. 学習者の効力感やキャリア意識の変化の調査:2021年度前期のキャリア教育科目において効力感を把握するための質問紙調査を行い,分析を行った.キャリア意識の変化に関する質的な調査には着手できておらず,全体として遅れている. B. 協調学習方法の要件:2021年度の当該科目の一部をオンライン授業で実施することとなり授業設計に変更が生じた.またカリキュラム変更により,開講が前期1クラスのみとなり,実践の機会が減少したために,デザインしていた協調学習方法を実践できずに遅れている. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:2021年度は前期のみ開講となり,一部の回がオンライン授業となったため,やはりシラバス通りの授業実践ができない状況であり,遅れが生じている.2022年度も授業実践の機会は前期1回のみであり,必要となる実践調査をすべてこの機会に実施予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
A. 学習者の効力感やキャリア意識の変化の調査:2019~2021年度の実践にともない収集したデータの分析を実施する.3年間で,対面授業,オンデマンド授業(すべて),一部オンデマンド授業という3パターンの実施形態があったため,特に授業実施形態が学習者の進路選択自己効力感に与える影響という観点から検証をする.2022年度も予定通りの実践研究は難しい状況であるが,これまでの調査結果をもとに新たな質問項目を検討し,引き続き調査を行う. B. 協調学習方法の要件:2022年度前期は現時点で対面授業で実施予定であり,改善した協調学習方法を試行する.また,オンライン非同期の授業における協調学習方法について,キャリア教育領域に関わらず,広く文献等を通じた調査を行う. C. 相互評価学習の授業デザイン検討: 上記Aに記したように,2019~2021年度の3年間で複数の授業実施形態(授業デザイン)を経験した.これらの実践結果をもとに,対面授業とオンライン授業の比較という観点から総括的な授業デザインの検討を行い,特に非同期型eラーニングにおける相互評価学習における課題を明らかにする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染防止の影響により,参加予定の学会がオンライン開催となったため,旅費の支出がなかった.また,オンライン授業対応により授業実践・検証計画に変更が生じたため,物品費等の支出が予定より少なかった.次年度も学会等の開催が縮小傾向にあるので,分析のためのパソコン,ソフトウェア等の購入に物品費を使用する予定である.
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