2022 Fiscal Year Research-status Report
他者との相互作用により主体的なキャリア形成能力を育むキャリア教育科目のデザイン
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19K14336
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Research Institution | Kyoto Bunkyo Junior College |
Principal Investigator |
桑原 千幸 京都文教短期大学, ライフデザイン総合学科, 准教授 (90587479)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デザイン研究 / 授業設計 / キャリア教育 / 協調学習 / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度からの所属機関のカリキュラム変更にともない予定通りの実践研究が難しい状況であったが,これまでの実践から得られた課題をもとに一部授業設計を見直し,実践を行った.研究実施計画の3点に即して,以下詳細を述べる. A. 学習者の効力感が他者との相互作用を通じてどのように変化するのか:2022年度前期のキャリア教育科目において,進路選択自己効力感を把握するための質問紙調査を行った.併せて,ある期間の進路選択自己効力の変化に影響を与える可能性があるものとして正課外活動に着目し,進路選択に関わるさまざまな課外活動経験に関する調査を行った.キャリア教育科目の受講生の自己効力の変化と 課外活動経験の関連を検証したところ,いずれの活動についても有意な結果は得られなかった. B. 他者との相互作用を通じたキャリア構築を促進する協調学習方法の要件:これまでの研究成果をもとに授業デザインを改善し,2022年度のキャリア教育科目において段階的な課題の相互閲覧活動と,相互評価学習を実施した. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:前段の検証結果において正課外活動と進路選択自己効力との関連が見られなかったものの,授業内で他者との相互作用を通じたキャリア構築について肯定的な結果が得られていることから,他者との相互作用を活かして正課外の活動を意味づける学習を取り入れるなど,授業設計をさらに改善する必要が浮かび上がった. 本成果について,2022年3月の日本教育工学会全国大会において発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度からのカリキュラム変更による対象科目の変更により,予定していた授業実践と検証ができず,進捗が遅れている.研究概要の各項目に照らし合わせた達成度は以下のとおりである. A. 学習者の効力感やキャリア意識の変化の調査:2022年度前期のキャリア教育科目において,受講生の効力感とキャリア意識を把握するための質問紙調査を行い,分析を行った.質的な調査には着手できておらず,全体として遅れている. B. 協調学習方法の要件:カリキュラム変更により,開講が前期1クラスのみとなり,実践の機会が減少したために,デザインしていた協調学習方法実践の機会が現象し,予定よりも遅れている. C. 相互評価学習の授業デザイン検討:2022年度も授業実践の機会は前期1回のみであったが,新たに進路選択に関わる課外活動に関する調査を行ったことにより,授業デザインの新たな課題を発見することができた.概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
A. 学習者の効力感やキャリア意識の変化の調査:2019~2022年度の対面授業,オンデマンド授業,ブレンド型授業という3パターンの実施形態をもとに,授業実施形態が学習者の進路選択自己効力感に与える影響という観点から検証をする.また,正課外活動とキャリア意識,進路選択自己効力の関連について,授業デザインの改善をもとに引き続き調査を行う. B. 協調学習方法の要件:本年度より,学生のノートPC必携が始まっているため,学習環境の変化に応じた協調学習方法を模索していく.また,オンライン非同期の授業における協調学習方法について,キャリア教育領域に関わらず,広く文献等を通じた調査を行う. C. 相互評価学習の授業デザイン検討: 上記Aに記したように,対面授業とオンライン授業の比較という観点から総括的な授業デザインの検討を行い,特に非同期型eラーニングにおける相互評価学習における課題を明らかにする.また,正課外活動を含めた大学生活全般を他者との相互作用を通じて意味づけるような学習方法を取り入れた授業デザインを検討し,実践をもとにデザイン原則のまとめを行う.
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Causes of Carryover |
研究が計画より遅れていることにより,次年度使用額が生じている.
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