2022 Fiscal Year Annual Research Report
専門領域としての科学コミュニケーションの領域構築過程についての質的検討
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19K14343
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
工藤 充 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10775886)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 科学コミュニケーション / 科学技術コミュニケーション / サイエンスコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「科学コミュニケーション」と呼ばれる領域が、実践および学際的学術研究の融合した専門領域として体系化される過程について、主に質的な手法を用いた検証・考察を行うものである。 2022年度は、地域に根付いた形で行われている科学コミュニケーション実践活動(科学祭)の運営・実施に継続的に携わっている科学コミュニケーション実践者を複数名対象として、インタビュー調査を実施した。そして、制度化・体系化の進められた科学コミュニケーション領域において、科学コミュニケーションの概念・理念に対する理解が実践者の間でどのように深められてきており、また、それが科学コミュニケーション実践の形式や運営形態に対してどのような示唆を持つのかについて、経験的データの収集と分析・検討を行った。 その結果からは、調査対象とした科学コミュニケーション実践に対して運営管理またはコンテンツ提供という異なる立場から関与する人々の間では、各々の抱く科学祭の意義や価値が、相互に関連し重なる部分を持ちながらも、大きな多様性を内包する形で存在していることが示された。このことからは、科学コミュニケーション実践の確立された場が、科学コミュニケーションに対して様々な形で意義や価値を見出す人々が集い、お互いのそうした科学コミュニケーション認識の差異に意識と敬意を払いながら一つの協働的科学コミュニケーション実践を遂行することを可能とするものであり、それによって様々な科学コミュニケーション観が継続的に相互作用し続ける機会を生み出しているということが示唆された。 これら研究活動から得られた知見は、科学技術社会論学会第21回年次研究大会にて発表し、有益なコメント・フィードバックを得た。それらを活かし、投稿用の論文原稿を目下作成中である。
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Research Products
(2 results)