2019 Fiscal Year Research-status Report
日本とミャンマーにおける数学教育の比較研究-留学生に対する教科指導を目的に-
Project/Area Number |
19K14347
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
高岡 邦行 日本工業大学, 共通教育学群, 講師 (50757333)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 留学生教育 / 留学生 / 数学 / ミャンマー / 予備教育 / 数学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の高等教育機関への進学を希望するミャンマー人留学生に対する数学の教科指導に関する研究である。ミャンマーの高等学校におけるカリキュラム・教科書の学習内容や学習方法を調査することで、日本との違いを解明し、さらに「どのような学習指導計画がミャンマー人留学生に適しているか」を明らかにする。そして、得られた研究成果を学習指導計画として具体化、提案することを目指す。 ミャンマー人留学生用学習指導計画の作成に向け、2019年度は次の2つの研究を遂行し、いくつかの知見や成果を得た。 (1)ミャンマーの高等学校における数学のカリキュラム・教科書の文献調査と、日本の教科書との比較分析を行い、関数の範囲の学習内容について日本との相違点を明確にした。具体的には、(i)各単元の学習順序や公式・性質の利用方法について、日本との違いを明らかにした。さらに、(ii)ミャンマー人留学生が未習だと考えられる内容を、日本の教科書の学習項目に沿った形で明らかにすることができた。 (2) 日本の大学進学を希望するミャンマー人留学生に対してインタビュー調査やアンケート調査を行い、彼らが日本で数学を学習するときに感じた困難点をいくつか明らかにした。具体的には、(i)関数のグラフの描画について苦手意識を持っている学生が少なくないこと、(ii)複素平面や確率を難しく感じる学生が多いこと、(iii)ミャンマーと日本とで理数教科の学習内容に大きなギャップを感じ、進路変更を考える学生もいることなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミャンマーの高等学校における数学カリキュラム・教科書の文献調査、日本の教科書との比較分析は順調に実施できた。研究成果は「日本と諸外国の学習項目対応表」として公表できた。 ミャンマー人留学生に対するインタビュー調査とアンケート調査もおおむね順調に実施できたものの、一部の留学生について大学受験終了まで調査を延期したため、すべての調査が完了したのは2020年2月となった。そのため、アンケート調査の一部については、分析が完了していないものもある。しかし、全体としては調査を通じて多くのデータと知見が得られており、次年度の研究に大きく寄与する調査であったと言える。 よって、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は以下の研究を遂行する予定である。 ミャンマー(ヤンゴン)での現地調査を通じて現地での指導方法や授業方法を明らかにし、2019年度に実施した研究とミャンマー(ヤンゴン)での現地調査で得られた知見をもとに、ミャンマー人留学生用の学習指導計画を作成する。 また、2019年度中に発表できなかった研究成果については、発表に向けて準備を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、参加を予定していた第22回専門日本語教育学会および研究討論会(2020年3月)、日本語教育方法研究会第54回研究会(2020年3月)、2020年度数学教育学会春季年会(2020年3月)が中止になったため、次年度使用額が生じた。 これについては、2020年度に行われる研究集会に参加する際の参加費・旅費として使用する予定である。
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