2019 Fiscal Year Research-status Report
「問題解決型実習(PrjBL)による手術計画立案実習」による教育効果の実証
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19K14349
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀 周太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20528559)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 問題解決型実習 / PrjBL / 手術計画立案実習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度(初年度)は研究課題(「問題解決型実習(PrjBL)による手術計画立案実習」の教育効果の検証)を適切に実施するための前提条件となる教育方略(PrjBL)の均一化、および研究環境の整備を行った。 まず、教育方略の習熟および均一化を目的として、2019年4月~12月に慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科学教室の臨床実習を履修した本学医学部5年生(18グループ 計112名)、および2020年1月~3月に当教室の臨床実習を履修した本学医学部4年生(5グループ 計25名を対象として、各グループごとに標記教育方略を実施した。手術計画立案のため提示する症例は、各研修期間(2週間)の後半予定された手術症例を利用した。学生の立案した手術計画は模擬術前カンファレンスを開催して発表し、指導者によるフィードバックを実施した。実習後に実施したアンケートでは、一般消化器外科の実習中に受講した教育プログラムのうち、有意義であったものの上位3つに、本教育方略を挙げた学生が全体の9割に挙がった。 研究環境の整備としては、学生に対して実施するアンケートをWeb形式に変更し、結果をリアルタイムで確認できるようにした。なお、当初はWebアンケート入力のため、および実習学生の教育支援のためにタブレット端末(iPad)を20台ほど購入する予定であったが、すでに医学部から全学生に端末が供給されていたため、上記のアンケートのメンテナンス、およびデータの収集、情報処理の実施者を雇用し、データ収集体制を整備した。 なお、さらなる教育方略を均一化にむけて、学生が検討する症例として臨床データ、画像データなどからなる、臨床実地に則した10例のモデルケースを作成中である。 これらの成果は2020年度 日本外科学会総会において特別セッション(120回企画 夢をかなえるキャリアパス・教育システム)に発表演題として採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教育方略を均一化するためには、検討する症例の質および難易度がある程度均等であることが望ましく、そのためのモデルケースの作成が必須である。 教育方略の習熟を優先するため、2019年度は実臨床症例を用いる方針としたが、それにより、結果としてモデルケースの作成が遅れている。 また、教育効果の検証を行うための、客観的な評価システムの作成が当初の予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、手術計画立案のため、学生に提示するモデル症例を作成中である。これは各臓器(食道・胃・膵臓・肝臓・大血管、末梢血管・乳腺)の手術症例(全身麻酔症例)について、臨床情報、検査データ、画像データなどからなる、臨床実地に則したデータセットとして構成される。2020年4月より合計10例のモデルケースを作成中で、5月初旬には完成の見込みである。最終的には教育効果の評価用もあわせて12-15例のモデル症例の作成を予定している。 また、教育効果を検証するための客観的な評価システムとして、評価用モデルケースの整備(上述)と、これを用いた試験問題の作成、さらに評価用モデルケースと試験問題の妥当性試験(Vallidation)を予定している。これらを本年中に実施、実習学生に適用しつつ内容の修正を行う。 これらにより整備された教育方略・モデルケースを用いて2021年度中に学生に対する教育方略の介入試験を行い、教育用モデルケースと試験問題を用いて教育効果の客観的評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本教育方略の実施に必要な、学生に対するアンケートは、入力の正確化、労力の軽減を図る目的から有料Webアンケートシステムを契約し、これによりデータ集積を実施している。契約期間の問題から、2019年度は別途研究資金から購入を行ったが、今後継続して同システムを使用するにあたり、契約更新費用そのほか雑費として203,883円を、来年度の確約された研究支出費用として残している。
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