2020 Fiscal Year Research-status Report
絶滅危惧種オオルリシジミを題材とした環境リテラシー育成のための教育プログラム開発
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19K14350
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
江田 慧子 帝京科学大学, 教育人間科学部, 講師 (90648461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オオルリシジミ / 絶滅危惧種 / 擬似標本キット / 子ども図鑑 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍のためオオルリシジミの研究フィールドである長野県安曇野市への出張を伴う野外調査や児童とのイベント調査がほとんどできなかった。しかし、現地の共同研究者と地域住民に協力してもらいながら、遠隔で連絡を取りながら室内やリモートで実施できる活動を中心に以下の研究を行った。 1)クララの移植(児童対象)2019年のマーキング調査から得られたオオルリシジミの移動方向の分析結果をもとに、2020年10月3日に子供を含めた一般の参加者を対象に国営アルプスあづみの公園内にクララの株を植栽するイベントに参加し、クララの植栽の意義を説明し参加した児童に植栽体験の話を聞いた。 2)擬似標本キット(児童対象) オオルリシジミの生物体の代わりにプラ板を使って標本を作成した。また擬似標本の作り方の説明書も同時に作成することができた。作成した擬似標本キットは、安曇野市内でブース出展し,訪れた子どもたちに試作した擬似標本キットについてのアンケートを実施することができた。また6月22日には安曇野市役所ロビーにてオオルリシジミの展示コーナーを設営してそこに実際の標本とともに並べて展示し、疑似標本についてのアンケートを実施した。 3)子ども図鑑(幼児・児童対象) オオルリシジミの観察場面で活用できる手持ちサイズの小さな図鑑を作成した。図鑑には首からぶら下げられるように紐をつけ、手元で生態について確認しながら観察が出来るようにする教材とした。 4)野外調査(オオルリシジミ対象) 2019年に引き続いて現地共同研究者と連絡を取りながら、寄生の実態を定量的に把握するためにオオルリシジミの卵寄生蜂の調査を行った。その結果、寄生蜂による保護区の寄生率は55.6%であり、田園区では60.6%であった。また孵化率は保護区では36卵中11卵(30.6%)、田園区では33卵中4卵(12.1%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスの関係で全く出張ができず、野外調査を行うことができなかった。また学校行事も中止となってしまったため児童と調査する研究活動ができず現在までの活動がやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き新型コロナウイルスの関係で5-6月のオオルリシジミの発生時期に新しい勤務地である兵庫県の関西学院大学から長野県へ頻繁に移動することが困難であり、 また子どもたちを集客しての学習会や観察イベントをすることができない状況である。そこで現地の共同研究者と地域住民に協力してもらいながら、遠隔で調査や子供たち向けの環境教育イベントを実施していく。 1)パネルシアター(幼児対象)の作成:パネル布を貼った舞台に絵や文字を貼ったり外したりして展開する、おはなし、歌あそび、ゲームをはじめとする教育法である。オオルリシジミの生態について物語形式で説明できるオリジナルシアターを作成する。 2)オオルリシジミとルリシジミの区別方法の発見と解説(児童対象):シジミチョウは別種でも似ていて区別をすることが難しい。特にオオルリシジミと同時期に出現するルリシジミは生態の形態が酷似している。そこで子どもでも分かる区別点を発見し、解説パンフレットを作成する。観察会に持ち歩きやすいようにA4の三つ折りとして、野外でもしっかり同定が出来るようなパンフレットにして、子どもたちでも同定が可能かを評価する.観察会は2021年5月22日に実施予定である. 3)クララの移植方法の開発(児童対象):クララの株数調査を行う。また結果を元に児童も参加できる移植方法を開発して、実際に児童に実践してもらう。クララ株の配布は2021年6月26日に実施予定である。また一昨年から続いているクララ株の植栽は2021年も10月にアルプスあづみの公園で実施予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの関係で調査や出張を行うことができなかった調査には行かず教材を開発したが、教育現場で使用できるか検討することができなかったため消耗品の金額も低かった。 <使用計画> 2021年度は多くの教材を作成することで物品費を使用することを計画している。また論文を作成、投稿するために費用を使用していくことを考えている。
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Research Products
(1 results)