2019 Fiscal Year Research-status Report
Research of experience-based multipurpose desktop electric power transmission and distribution system for junior high school, liberal arts and humanities students
Project/Area Number |
19K14352
|
Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 文章 石川工業高等専門学校, 電気工学科, 助教 (20633019)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 高電圧 / マルクス発生機 / 出前授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では中学生や文系学生を対象とした,電力システム分野の興味関心を喚起し.理解を促すことを目的とした体験型の卓上型多目的電力送電システム教育装置の研究を実施中である。これにより、将来の電力エネルギーに必要とされる事を考えられるようにする事を目的としている。 現在までに、本装置の中核をなす、高電圧電力システム実験装置の設計と一部作成を実施した。高電圧電力システム実験装置は、数cm~数十cm程度の小型の模擬落雷を発生させることを目的としている。本システムは、従来、高専や大学などにあるマルクス発生回路とは異なり、可搬型であること、および小中学校や出前授業などの出先で実験を行うために、AC100 Vの商用電源で利用可能としていること等の特徴がある。 この装置は高電圧発生方式にマルクス発生機と放電電極で構成されている。放電開始電圧は、放電電極の構造により異なり、針対平板電極で針先端から平板までの距離を約10cmとし、不平等電界を用いると約70 kV、平等電界を用いる場合、約250 kV、一般的な高電圧計測で用いられる標準球ギャップの場合、直径10 cmの球で距離10cmの場合約215 kVである。本研究では、安定した放電を目指すため、放電電極には、放電しやすい針対平板電極を用い、マルクス発生機の発生電圧は、公称 250kVとして設計した。 現在までに設定した電圧に基づいたマルクス発生機および周辺回路の設計を終えている。また、本装置に利用する部品や装置についても購入を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は、研究の中核をなす、高電圧電力システム実験装置の設計と一部の作成を行った。高電圧電力システム実験装置は、高電圧発生を行うマルクス発生機と放電電極がある。 マルクス発生機に関しては、公称出力電圧を250 kVとなるように設計している。このマルクス発生機は、充電時に並列接続された8個のコンデンサに約32 kVの充電を行い、放電時に並列に接続されたコンデンサを直列につなぎ替え、放電することで32 kV×8 段=256 kVの出力することが出来る回路とした。 また、放電電極は、針対平板電極として、針先端から平板までの距離(ギャップ長)が10 cmとなるようにした。電極の先端には、放電による消耗を考慮して、アーク溶接の電極棒に用いるタングステン電極を利用することでメンテナンス高率を向上させている。これらの設計が完成した後、直流高電圧電源や配線などの必要となる部品の発注を済ませて、動作確認まで終了している。 本年度の目標として、「電力システムの学習・実験システムの構築」に対して、1年半~2年前後を目標としており、残りの正常動作の確認や安全性の確認などの動作確認に必要と見込まれる時間を考慮しても、現状の装置作成状況は、おおむね順調に進展していると考えて問題ないと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として、「電力システムの学習・実験システムの構築」のために必要なマルクス発生機の作成や周辺回路の作成を行い、実験システムを完成させる。その後、正常に動作するか、安全性の確認を行った後に、石川高専で授業時間にプレテストを行った後に、中学生などを対象とした実証実験を行う計画を予定している。 しかし、現在の問題として、新型コロナウィルス(COVID-19)による感染症のため、石川高専での授業時間のプレテストや中学校などを訪問しての出前授業などの予定の見通しが全く出来ない状況である。 そのため、新型コロナウィルスの問題に対応するため、本来行う予定であった出前授業の代わりに、石川高専の授業時間のプレテストに関しては、Microsoft Teamsを利用した配信に、中学生などを対象した実証実験に関しては、動画などを用いてWebで配信するなどのインターネットを活用することで代替する予定している。その際には、動画の作成、編集作業なども行う必要がある。新型コロナウィルスの状況が落ちつていた場合は、同時に従来、予定していた、石川高専でのプレテストや中学生などを対象した実証実験を行う予定である。 また、マルクス発生機などの作成を行うための部品(特にアメリカやEU諸国、中国などの物品)も品不足や流通の混乱などによるシステムの完成が遅れることも考えられる。これに関しては、回路設計などを見直し、代替部品を利用することやどうしても代替部品が無い場合は、出来る限り早く注文することで、時間のロスを最小限にとどめたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
旅費および人件費に関しては、新型コロナウィルスの影響で安全性や国からの要請などにより予定が消化できなかったためである。現在、別途日程を調整中であり、今年度、状況が安定した段階で、旅費や人件費などの執行を行う事を検討している。 また、物品費に関しては、予定していた購入物品について、購入を遅らせとも計画に支障が無く、性能のよりよい新しい製品が次年度発売されるとのことだったため、購入を見合わせたためである。
|