2021 Fiscal Year Research-status Report
ノスタルジアの機能と自己評価との関連:継時的比較・社会的比較からのアプローチ
Project/Area Number |
19K14357
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
並川 努 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10613721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 継時的比較 / 生涯発達 / 想起 / 過去 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,人が「過去」を想起したりすることについて「ノスタルジア(Nostalgia;なつかしさ)」や「継時的比較」などをキーワードに検討し,「過去」の想起が担う役割を統合的に明らかにすることを目指している。特に,自己評価の維持や高揚に「過去」の想起がどのように寄与しているかについて整理することを目指している。 本年度は,これまでの成果を踏まえ,「過去の自己」と「現在の自己」を比較する程度(継時的比較への志向性)や,過去と現在との比較に伴う感情などが,発達的にどのように変化するかについて検討を行った。具体的には,20代から60代の1000名を対象に,継時的比較志向性尺度や自尊感情尺度を用いたオンライン調査を実施した。その結果,20代は,40代以降に比べて「過去の自己」との比較を意識しやすいことや,若い年代の方が「過去」と「現在」とを比べてネガティブな感情を経験することが多いことなどが示された。また,「過去の自己」を意識したり比較を行ったりすることは,比較の結果ネガティブな感情を経験することもあるが,同様にポジティブな感情を経験することもあること,比較を多く行う人ほど自尊感情が低い傾向があること等も,先行研究と同様に示唆された。さらに,懐かしいと感じる時期についても尋ねたところ,ほとんどの年代で高校生の時期が選択されることが多いことなどが示された。 次年度はこれらの結果を踏まえ,さらに追加の調査を実施し,成果をまとめて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度から計画を変更し,調査等を後ろ倒しにして内容を一部を変更しているため,当初の計画からはやや遅れている。ただし,次年度に概ね計画通りに遂行できるように進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,当初想定していた調査については,状況を見ながらオンラインでの調査を活用するなどして実施するとともに,最終年度として研究成果のまとめや発信にも重点を置いて進める。
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Causes of Carryover |
当初想定していた旅費などが社会状況などもあり使用できなかったことや,一部計画を変更して調査の実施時期などを遅らせていることから次年度使用額が生じている。 2022年度は,時期を変更した調査を行うとともに,これまでの成果を踏まえた追加の調査を予定している。また,研究成果の発表等に関する部分でも使用していくことを計画している。
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