2022 Fiscal Year Research-status Report
ノスタルジアの機能と自己評価との関連:継時的比較・社会的比較からのアプローチ
Project/Area Number |
19K14357
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
並川 努 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10613721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 継時的比較 / 社会的比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,人が「過去」を想起したりすることについて「ノスタルジア(Nostalgia;なつかしさ)」や「継時的比較」などをキーワードに検討し,「過去」の想起が担う役割を統合的に明らかにすることを目指している。特に,自己評価の維持や高揚に「過去」の想起がどのように寄与しているかについて整理することを目指している。 本年度は,昨年度実施した「過去の自己」と「現在の自己」を比較する程度(継時的比較への志向性)や,「過去」と「現在」との比較に伴う感情などが,発達的にどのように変化するかについて検討について学会発表を行い,それをもとにさらなる調査の計画・実施を行った。 また,本年度は継時的比較志向性と社会的比較志向性という観点からも生涯発達的な変化について検討を行った。その結果,比較への志向性が継時的・社会的比較いずれにおいても年齢とともに下がって行くことが示唆され,同時に年齢に伴って自尊感情は上がって行く傾向が見られた。「過去」の回想や継時的比較が若い世代の方が相対的に多い傾向があることは,先行研究とも一致していたが,社会的比較も含め,比較への志向性は20代,30代の方が相対的に高いことが明らかになった。自尊感情は年齢とともに上がって行くことから,世代によって「過去」との比較に限らず,比較過程自体の持つ意味や位置づけなどが異なっていることも推測される。こういった点について,今後さらなる検討が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は本年度で終了する予定であったが,これまでの成果をふまえ,追加の調査を計画しており,年度をまたいでの実施を予定している。その他は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
追加の調査実施を主に年度前半に予定している。また,年度後半には学会発表や論文投稿等を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う状況の変化も関連し,計画を一部変更して進めているため,次年度使用額が生じている。次年度に,追加の調査実施および学会発表・論文投稿等を予定しており,それらに経費を使用する予定である。
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