2019 Fiscal Year Research-status Report
セルフコントロールの個人差はどのように好ましい行動習慣を形成するのか
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19K14361
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
後藤 崇志 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (70758424)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セルフコントロール / 個人差 / 社会的影響 / 規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年(令和元年)度は、1) セルフコントロールを支える個人差についての研究レビュー、2) セルフコントロールを要すると想定される意思決定場面における社会的影響の実験的検討、3) セルフコントロールの個人差が関与すると考えられる社会行動・社会的認知についての実験・調査研究、を行った。 1) セルフコントロールを支える個人差についての研究レビューについては、実行機能や、価値の表象・更新に関わる過去の研究知見をレビューすることで、一般に自制ができる、つまり「セルフコントロールが得意」という人はどのような特徴を持つ人であるのかを体系的に整理した。 2) セルフコントロールを要すると想定される意思決定場面における社会的影響の実験的検討については、セルフコントロール研究で伝統的に使用されてきた遅延報酬課題において、他者の規範情報が遅延報酬を選択するか即時報酬を選択するかの意思決定に影響を及ぼすことを示した。 3) セルフコントロールの個人差が関与すると考えられる社会行動・社会的認知についての実験・調査研究については、ステレオタイプや同調、購買行動に関する実験や調査を行い、様々な場面での行動や認知とセルフコントロールの個人差との関連を検討した。 1)の研究のレビューは展望論文として投稿した。2)や3)の実験・調査研究で得られた研究知見については研究会や学会大会で発表を行い、他の研究者と議論を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究プロジェクトを進めていく上で必要なセルフコントロールの個人差についての体系的なレビューを行い、投稿論文としてまとめるところまで進めることができた。また、従来、セルフコントロールを要すると想定されてきた意思決定場面において社会規範の影響が見られることを示したことで、次年度に行うべき研究計画の道筋も立てることができた。以上の点から、当初の計画で想定していた程度には順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、セルフコントロールの個人差と社会的影響との交互作用を検討するような実験・調査研究を行う。また、一時点の意思決定場面を扱うだけでなく、より長期的な視点でのセルフコントロールにかかわる研究も進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、年度末に予定していた実験を実施できなかった。そのため、実験参加者に支払う予定であった謝礼や、得られた知見についての論文の英文校正に充てる予定の予算が未使用のままとなった。年度明けに予定していた実験(あるいは、情勢に応じてその代わりとなる実験)を実施し、得られた知見を論文としてまとめて投稿するために使用する予定である。
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