2021 Fiscal Year Research-status Report
セルフコントロールの個人差はどのように好ましい行動習慣を形成するのか
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19K14361
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
後藤 崇志 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (70758424)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セルフコントロール / 遅延割引 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、長期的な目標や報酬の価値とセルフコントロールの遂行との関連について検討を行った。主には1) 教育場面におけるセルフコントロールと、2) 報復意図におけるセルフコントロールに着目した検討を行った。 1) 学習することの長期的な価値への認識を促す介入により、授業において短期的な成績の向上ではなく、長期的な理解の深化につながる学習行動が促進されることを示した。また、この介入はセルフコントロールが低い者においてみられやすい授業からの離脱を抑えられることも明らかにした。 2) 報復意図においても他の報酬選択と同様に、遅延価値割引が生じることが示されている。ただし、報復意図における遅延価値割引は金銭報酬の遅延価値割引とは異なり、割引率が低い(すなわち、遅延された大きな苦痛を与える報復の選択率が高い)ほど、実際の攻撃行動をとりやすいことが示されている。今年度に実施した研究では、長期的な関係継続の意図を持ちやすい友人から不利益を被った場合、そうした関係継続の意図を持ちにくい他人と比べて、相手に対して遅延された大きな苦痛が与えられることよりも、小さくとも即時的な苦痛が与えられることを好みやすいことを示した。 今年度が最終年度のため、成果の公表も進めている。昨年度までの成果については、引き続き論文の執筆・査読対応を行なっている。1) については研究成果を論文としてまとめ、投稿中である。2) については研究成果をまとめて論文として投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会的影響も含め、長期的な目標・報酬への価値づけが変わることでセルフコントロールの遂行に影響が見られることは検討してきたが、個人差との交互作用については一部で検討はできたものの、予測とは異なる結果が得られた部分もあり、想定していたほどには進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度が最終年度であったが、所属の変更等により研究成果を十分にまとめることができなかったため、引き続き研究成果を論文としてまとめて公表することを目指す。
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Causes of Carryover |
所属の変更等により論文の執筆が遅れたため。残額は次年度中に成果を論文としてまとめるために必要な追加調査費用や英文校正費用、論文掲載料等に使用する。
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