2020 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the psychological origin of religious beliefs: A re-examination of the "Theory of Mind hypothesis"
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19K14370
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石井 辰典 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (40708989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宗教的信念 / 心の理論 / 宗教認知科学 / 潜在連合テスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、宗教的信念の起源についての“心の理論仮説”を検証することである。
2020年度には、まずこれまでの研究成果を整理し、2つの雑誌に投稿した。具体的には、日本人参加者合計2000名以上を対象から、心の理論能力の個人差を測定する指標や宗教的信念について回答を得てきたが、これらを元に、2つのテーマ(1:他者の心的状態を正確に判断する能力は宗教的信念を予測するか、2:複数の共感の測度のうち宗教的信念と関連するのはどれか)について論文を執筆し、宗教認知科学・宗教心理学系の国際誌に投稿した。どちらの論文も、現在査読中である。
また2020年度には、宗教的信念を質問紙以外で測定する方法としてIATを用いた測度開発に着手した。IATとは潜在連合テスト(Implicit Association Test)のことで、概念間の連合の強さを測定する方法として広く使われている。宗教的信念についても、超自然的な存在(神や精霊など)が「実在」と「虚構」のどちらの概念と結びついているかを測定する方法として利用できると考えられる。現在、オンライン研究プラットフォームにおいてIATを実施的できるよう調整を済ませたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質問紙法を中心とした研究では、概ね期待通り結果を得ることができ、論文として投稿することが出来た。一方で、潜在連合テストによる宗教的信念の測定法確立は、順調に進んでいるとは言い難い。というのも、2020年度はCOVID-19の流行の影響で対面研究(参加者を研究室に呼ぶ形での研究)の実施が非常に困難であったためである。IATの課題の実施は対面研究を想定しており、参加者を集めることが出来なかった。したがって、研究計画全体の進展に遅れが生じている。現在、対面研究ではなくオンライン研究を中心に進めることとし、IAT実施プログラムもオンラインプラットフォームで作成を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
潜在連合テストによる宗教的信念の測定法の確立のため、オンラインの研究プラットフォームを作成した。現在までに70名ほどの参加者を集め、予備研究を済ませたところである。今後オンライン研究で多くのデータを収集していく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年からのCOVID-19の流行により、出張・学会への参加を取りやめている。また予定していた研究にも実施に遅れが生じており、こうした使用予定額と実際の使用額に大きな差が生じた。
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Research Products
(1 results)