2023 Fiscal Year Annual Research Report
上司と部下の各信頼と被信頼で構成されるTRUST4がもたらす長期的影響の解明
Project/Area Number |
19K14372
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
藤原 勇 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (30782966)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 信頼 / 被信頼 / 上司・部下関係 / ストレス / 動機づけ / 組織自尊感情 / 絆 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,上司・部下関係において,信頼(相手を信頼すること)と被信頼(相手から信頼されていると思うこと)の持続および変移による長期的な心理的影響を検討することである。調査方法として,インターネット調査による縦断調査を7回実施した。 本調査では,信頼と被信頼の各得点を高低群に分けて組み合わせた4タイプ(TRUST4)に着目した。TRUST4は,信頼高群かつ被信頼高群の双方向信頼,信頼高群かつ被信頼低群の一方的被信頼,信頼低群かつ被信頼高群の一方的信頼,信頼低群かつ被信頼低群の非信頼とした。そして,長期的にTRUST4が持続するタイプ持続および持続しないタイプ変移による心理的影響(指標は内発的動機づけや勤続意思,組織自尊感情,絆のネガティブな効用,ストレス反応,関係性評価)を検討した。 タイプ持続はTRUST4のタイプが7回の調査ですべて同じ場合とした。分類の結果,部下と上司の両方で一方的信頼と一方的被信頼のデータが少なかったため,双方向信頼と非信頼のタイプ持続による心理的影響を検討した。その結果,上司と部下の両方で,双方向信頼の方が非信頼よりもすべての指標で肯定的な評価が高かった。 一方,タイプ変移は非信頼から双方向信頼に移行する形成ルート,双方向信頼から非信頼に移行する表層崩壊ルート,双方向信頼から一方的信頼を経由して非信頼に移行する深層崩壊ルート1,双方向信頼から一方的被信頼を経由して非信頼に移行する深層崩壊ルート2の4つとした。しかし,データ数が少なかったため,形成ルートをプラス変移とし,表層崩壊ルートと2つの深層崩壊ルートをマイナス変移とし,この2つの変移による心理的影響を検討した。その結果,部下ではプラス変移がマイナス変移よりも組織自尊感情と関係性評価で,上司ではプラス変移がマイナス変移よりも内発的動機づけ,勤続意思,関係性評価で肯定的に変化する程度が大きかった。
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