2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K14379
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 英子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 助教 (40761630)
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Project Period (FY) |
2021-02-01 – 2024-03-31
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Keywords | 共感覚 / 色字対応 / 発達 / 算数学習 / 漢字学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
共感覚とは、1種類の刺激入力に対して、複数の感覚や認知が同時に感じられる現象である。例えば「アルファベットのaを見ると赤く感じる」などが挙げられる。共感覚は人口の1%に見られることがわかっているが、一方で、一般的な成人にも「共感覚的傾向」と呼ばれる、共感覚に似た色字対応が見られることがわかっている。文字や数字などに対して色などのイメージを付与することで、具体的に捉えることが可能となり、理解が促進されるという、共感覚的傾向の機能的側面が示唆されている。本研究課題では、広く一般に見られる共感覚的傾向に焦点を絞り、学習との関連を示すことである。具体的には、以下の実験1, 実験2の2段階に分けて検討している。
実験1として計画していた、「漢字の読み替えによる共感覚的傾向の発達的変化」については、小学生を対象に、漢字と色との対応関係を調べるためのものである。実際に、小学3-6年生184名を対象に調査紙による調査を行った。また、追加実験として成人200名を対象にした調査を行った。その結果、小学生にも成人にも、漢字の色字対応が広く見られたが、年齢による変化は見られなかった。これは成人に見られる色字対応が、小学3年生の時点で形成されていることを示している。以上の結果を現在論文にまとめているところである。
実験2として計画していた、「数学者に見られる共感覚的傾向」については、予備調査として位置づけられるウェブアンケートを実施し、今年度は大規模な調査紙調査を実施する予定である。これにより、数字や数学的概念に対する共感覚的な印象が、数学の理解にどのように影響しているのかを明らかにすることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった実験1 は実験を完了し、論文にまとめられるだけの結果を得た。現在は論文執筆中で、まもなく投稿予定である。また、実験2についても本調査実施の目処が立っており、本年度中に論文投稿まで行える見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
実験1 については、2022年6月を目処に論文を投稿し、今年度中に出版を目指している。実験2については、2022年5月には本調査実施予定であり、8月を目処に解析を終了し、年度内には論文投稿を目指している。当初の計画以上に研究が進展しているため、実験1, 2 の目処が立ち次第、応用先として実験1, 2 による知見を元に、教育用アプリケーションの開発を行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行により、当初予定していた学会への参加を見合わせたため、旅費の一部が未使用であった。次年度にはCOVID-19の流行が落ち着くことを見越し、学会への参加を予定しており、その費用に充当する予定である。
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