2019 Fiscal Year Research-status Report
親子双方の発達障害特性と親子関係および子どもの精神的健康との関連メカニズム
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19K14381
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
齊藤 彩 お茶の水女子大学, 教学IR・教育開発・学修支援センター, 特任助教 (30794416)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達障害特性 / ADHD / ASD / 親子関係 / 育児 / 精神的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親子双方の発達障害特性(注意欠如・多動症的行動特性(ADHD特性)/自閉症的行動特性(ASD特性))と親子関係、子どもの精神的健康との関連メカニズムについて、縦断質問紙調査により実証的に明らかにすることを目的としている。 2019年度は、主として以下の3点の研究活動に従事した。 1. 発達障害特性が高い親の親子関係の実態を把握し、質問紙調査で使用する親子関係に関する測定尺度の選定に役立てるために、予備調査として、発達障害特性が高い親を対象としたインタビュー調査を実施した。発達障害の診断を受けている、あるいは診断閾下の発達障害特性の高さをもつ母親15名へのインタビュー調査により、親の発達障害特性の高さが親子関係にどのような影響をもたらしているのかについての情報を得た。 2. 質問紙調査で使用する尺度の1つとして、親の育児におけるニーズや育児困難感を測定する「PNQ: Parenting Needs Questionnaire」の日本語版の作成を行った。原著者の許可の下、バックトランスレーションの手続きを経て、PNQの44項目を日本語に翻訳した。 3. 親子双方の発達障害特性と親子関係、子どもの精神的健康に関する第1回目の質問紙調査を実施した。就学前版については、7園の幼稚園/保育園/こども園に在籍する339家庭の子どもの保護者(母親324名、父親195名)より回答を得た。小学生版については、5校の小学校に在籍する345家庭の子どもの保護者(母親316名、父親145名)より回答を得た。質問紙では、親子双方のADHD特性およびASD特性、育児における親のニーズや育児困難感(本研究において日本語版を作成したPNQを使用)、子どもの精神的健康についての測定を行った。現在、データの入力ならびにクリーニング作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施する予定であった2つの調査(発達障害特性が高い親を対象としたインタビュー調査、就学前から児童期の子どもの家庭を対象とした第1回目の質問紙調査)が計画通りに進んでいるため、おおむね順調に進展していると判断した。本年度に取得したデータについては、現在、入力ならびにクリーニング作業を進めており、可能な限り早く分析を行い、研究成果を発表できるように進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、次年度は、第1回目の質問紙調査で得られたデータの分析を行うとともに、第2回目の質問紙調査を実施する。第2回目の質問紙調査では、計画の通り、親子双方のADHD特性およびASD特性、親子関係、子どもの精神的健康を測定する予定である。第1回目の質問紙調査の結果については、学術雑誌への投稿や学会での発表を積極的に行う。また、本研究において作成したParenting Needs Questionnaire日本語版の尺度についても、学術雑誌への投稿や学会での発表により、広く社会に発信していくように努める。
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Causes of Carryover |
2020年2~3月に回収した質問紙の数が予定より少なかったため、料金後納郵便の支払額の一部が不要となった。次年度使用額については、第2回目の質問紙調査の郵送費用の一部に充てる。
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