2019 Fiscal Year Research-status Report
生物心理社会モデルに基づく日本人青年の自殺機序の解明と予防的介入方法の開発
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19K14385
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
石井 僚 奈良教育大学, 学校教育講座, 特任准教授 (50804572)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会経済的地位 / 自殺 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は主に2つの方向で研究を遂行した。 1つは、日本人青年の自殺の問題について、青年期の発達課題であるアイデンティティや死生観といった心理的要因に着目した質問紙調査の分析を行った。大学生189名を対象に質問紙調査を行い、媒介分析を行った結果、古くから自殺との関連が指摘されてきたアイデンティティの混乱(稲村, 1977)と、自殺のリスク指標との関連は、死を苦しみ等からの解放と捉える死生観によって、部分的に媒介されていることが示された。他先進国では類を見ない程の高水準である日本人青年の自殺の心理的機序の一部が明らかとなった。なお、本結果については国内学会において発表された。 もう1つは、自殺のリスク要因として指摘され続けている社会経済的地位についてである。社会経済的地位の低下を招く不適切な金融行動を起こしてしまうメカニズムを検討するため、予備実験を行った。大学生276名を対象に質問紙を用いた実験を行った結果、不適切な金融行動の経験を持つ個人は、そうした経験を持たない個人よりも、不適切な金融行動によって金銭を獲得することでポジティブな感情を持つことが示された。そして、不適切な金融行動による金銭の獲得に対してポジティブな感情を持つこととと、金融を扱う能力の高さの間には、全般的な認知能力をコントロールした上でも関連がみられた。この結果を基に、指標を精査した上で実験室実験を行っていくこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備実験や一部の質問紙調査などについては予定通りの進捗である一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、年度末に予定していた縦断調査の第1回目が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していた縦断調査については、2020年度に改めて実施予定である。また、2019年度に行った予備実験の結果から指標を精査し、2020年度内には予定通り実験室実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、年度末に予定していた縦断調査の第1回目が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に改めて当該調査を行うことで、使用する計画である。
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[Presentation] The effect of self-perception in childhood on the relationship between socioeconomic status during childhood and help-seeking styles in adolescence2019
Author(s)
Ishii, R, Fujii, R, Funo, S, Hirose, Y, Kuromatsu, T, Matano, Y, & Miyamoto, M
Organizer
19th European Conference on Developmental Psychology
Int'l Joint Research