2023 Fiscal Year Annual Research Report
生物心理社会モデルに基づく日本人青年の自殺機序の解明と予防的介入方法の開発
Project/Area Number |
19K14385
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
石井 僚 奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (50804572)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自殺 / 自殺念慮 / 自殺の対人関係理論 / スクールカースト / 時間的展望 / 機械学習 / Balanced Random Forest / ROC曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に行った高校生を対象としたオンライン調査の結果をまとめ、日本発達心理学会第35回大会で発表した。また、社会調査データの二次分析を行った結果が、日本心理学会の機関紙である心理学研究に採択された。そして新型コロナウイルス関連で実施が遅れていた準実験デザインの研究を、大学生を対象にして行った。
高校生を対象としたオンライン調査では、中学、高校時代のスクールカーストの経験と、自殺の対人関係理論 (Joiner, 2005) に基づく自殺リスクとの関連を検討した。t検定やROC曲線、Youden indexを用いたカットオフポイントの検討等の結果、最も低い地位でなくとも、スクールカーストの低位を経験することが、自殺のリスク要因を高める可能性が示唆された。 社会調査データの二次分析では、時間的展望とその親子間の一致および家庭のSESに着目し、理論的に関連が考えられるその他の変数とともに、10代青年の自殺念慮の予測を行った。機械学習の1手法であるBalanced Random Forestによる予測を行った結果、検証用データセットにおいては、自殺念慮ありのデータを全て自殺念慮ありと予測でき、全体での予測の正確度は8割程度であった。また、重要度の指標からは、10代日本人青年の自殺念慮の予測に対して、親子の時間的展望の一致や家庭のSESの重要性が示された。こうした結果は、親子の時間的展望の一致といった発達的側面と文化的側面を考慮した、この時期に特有の対策の必要性を示唆している。 大学生を対象とした準実験デザインの研究については、現在分析を進めている。
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