2019 Fiscal Year Research-status Report
時間管理能力の発達過程と促進要因の検討ー時間管理の3側面に着目してー
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19K14386
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井邑 智哉 (井邑智哉) 佐賀大学, 学校教育学研究科, 講師 (80713479)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間管理 / 時間管理の学び方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,時間管理能力の発達過程と,その促進要因に関する一連の研究を通して,「児童生徒の時間管理能力を育む方法」を提案することである。 令和元年度には時間管理能力の発達過程を探るため,大学生に対して想起法による調査を行なった。その結果,時間管理を学ぶ機会は中学,高校の時に多いこと,時間管理について学ぶ相手は母親や学校の先生が多いことが明らかとなった。 そして,時間管理に関して学んだ内容を分類した結果,①プラニンニング,②モニタリング,③時間の活用,④他律的な時間管理という4種類が得られた。成人の時間管理に比べ,他律的な時間管理というこの時期に特徴的な時間管理の様態が見られた。これらの結果は,時間管理能力が他律的なものから自律的なものへと発達していく可能性を示唆しているといえる。 また児童生徒の時間管理能力を測定する尺度を作成するため,児童生徒や小中学校の教員への調査を行なった。尺度の項目について因子分析を行なった結果,計画的な時間活用(例:自分で時間を決め,宿題に取り組んでいる),無計画(例:ダラダラと時間を過ごしてしまうことが多い)という2因子が得られた。そしてこの2因子と根気強さ,ストレス反応(無気力,不機嫌・怒り)の関連を検討した結果,計画的な時間活用は根気強さと正,ストレス反応と負の関連が見られ,無計画は根気強さと負,ストレス反応と正の関連が見られた。これらの結果は尺度の妥当性を示すものであり,今後はこの尺度を用いて,時間管理能力の発達過程と促進要因を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間管理能力の発達過程を探るため,児童,生徒,学生,小中学校教員への調査を実施した。その中で児童生徒に特徴的に見られる時間管理の様態が示されるなど,着実に知見が積み上げられている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は引き続き時間管理能力の発達過程を検討していく。今年度作成した時間管理尺度を用いた検討に加え,課題(例:豆移動課題,サイモン課題など)や実際の時間管理場面(例:中学での定期考査)を用いた検討を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で参加を予定していた学会が中止になり,共同研究者との打ち合わせも実施することができなかった。そのため,この分に関しては次年度以降の学会参加,打ち合わせのために使用したいと思う。
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