2019 Fiscal Year Research-status Report
ピアサポート活動への参加による学生の発達過程―1年間の縦断調査による検討―
Project/Area Number |
19K14387
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
永井 暁行 北星学園大学, 文学部, 助教 (90824045)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ピア・サポート / 大学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ピア・サポートを通した学生の発達を検証することである。教育プログラムとしてのピア・サポート活動に参加することによる成長は教育実践の現場では実感されている(e.g. 池本,2009;高橋他,2009)。しかし,それだけではエビデンスに基づいている教育プログラムとは言えない。本研究は現場レベルの実感を実証的に検討し,教育効果の根拠を示す。そのために,2020年度は学生ピア・サポーターへのインタビューと,ピア・サポートに関する先行研究から,ピア・サポート活動を通した発達を測定する尺度を作成することを目標とした。 2020年度は,各大学のピア・サポートに携わる教職員の協力を得て,5大学20名の学生ピア・サポーターにインタビュー調査を行った。インタビューは「ピア・サポート活動への参加動機」,「ピア・サポート活動の内容」,「ピア・サポート活動を通して成長したと思うこと」などが含まれた。これらの質問により,各大学のピア・サポート活動の内容とそれに対して学生ピア・サポーターがどのような評価をしているのかを聞くことができた。このインタビュー調査の結果を元に,ピア・サポート教育効果尺度(大学生版)の作成を試みた。 当初の計画ではインタビュー調査を9月までに終わらせる予定であったが,各大学および学生との調査依頼および交渉の結果,実際の調査時期は2019年10月から12月までになった。そのため,2020年度1月に尺度の構成を行い,3月までに信頼性・妥当性の確認を行う予定に変更した。しかし,新型コロナウィルス感染症の感染拡大により,各大学に調査協力を依頼することができず,作成した尺度の信頼性・妥当性を確認することができていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画ではインタビュー調査を9月までに終わらせる予定であったが,各大学および学生との調査依頼および交渉の結果,実際の調査時期は2019年10月から12月までになった。そのため,2020年度1月に尺度の構成を行い,3月までに信頼性・妥当性の確認を行う予定に変更した。 しかし,新型コロナウィルス感染症の感染拡大により,2月以降各大学に調査協力を依頼・実施することができず,作成した尺度の信頼性・妥当性を確認することができていない。尺度の信頼性・妥当性を確認する行程は2020年3月までに終える予定であったため,本研究の進捗は遅れていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は1年目で作成した尺度を用いてピア・サポート活動による学生への教育効果を1年間の縦断調査により検証する予定であった。しかし,新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い,本研究の再開の目途はたっていない。本研究は日本各地の大学の学生ピア・サポーターに協力を依頼するため,各大学に所属する教職員に調査への依頼や調査時期・方法の相談を行う必要がある。そのためには各地の大学の状況が落ち着き,調査への協力を依頼できるようになる時を待たなければならない。再開までに研究1年目で作成した尺度の表現や内容を十分に見直しておき,調査が再開された際には各大学に調査協力を依頼し,尺度の信頼性・妥当性を確認する調査を行う。その後,短期的な縦断調査によりピア・サポート活動による教育効果の検証を行う。縦断調査が短期的になることが予想されるため,ピア・サポート活動への参加期間や,週・月あたりの参加時間などの変数を分析に用いてピア・サポート活動の効果検証を試みる。
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Causes of Carryover |
2019年度の研究を実施するにあたり,申請時に予定していた「小樽商科大学」,「立命館大学」,「追手門学院大学」には協力を得られなかった。そのために出張費は予定より小さくなった。特に,新型コロナウイルスによる社会状況により,年度末に予定していた尺度の信頼性・妥当性を行うことができなかった。これにより,申請していた各大学への往復交通費を用いる機会がなかった。また,調査を行えなかったことにより調査票の印刷代および協力者への謝金を用いる機会はなかった。以上が主な次年度使用額が生じた状況である。 翌年分と合わせて,尺度の信頼性・妥当性の検討を実施する際に,出張費と謝礼その他として用いることを予定している。現時点では新型コロナウイルスの影響により,各大学への調査を依頼することが難しい状況である。社会状況が変わり各大学に調査を依頼できるようになり次第,各大学のピア・サポートに関わる教職員と本調査の具体的な打合せなどを行う。
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