2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K14389
|
Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
大塚 紫乃 江戸川大学, メディアコミュニケーション学部, 准教授 (30735684)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 類推 / 問題解決 / 児童期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は児童期の類推の発達を明らかにすることである。 2021年度において、小学1年生と3年生(合計31名)を対象に、類推による問題解決についての個別対面調査を行った。 調査の結果、物語と課題の類似性を利用して問題解決できるかどうかは、個人差も大きく、小学3年生までに可能になるという傾向は見られなかった。しかし、物語と課題の間の類似点について尋ねると、小学3年生では見た目の類似性(表面的類似性)に言及する者はおらず、解決に関わる本質的な類似性(構造的類似性)に着目できるようになっていた。 以上から、小学3年生では問題の類似性に気づくことができるものの、物語を知識として活用できないということになる。類推が可能になるためには、類似性を理解するだけではなく、柔軟に知識を活用するという心的な構えも必要であると示唆された。 思考の柔軟性を測るために、Unusual Uses Test(”モノ”の通常とは異なる使い方をできるだけ多く挙げる課題)を、子どもたちに調査した。例えば、「モノの普通とは違う使い方について聞きます。空き缶はどんな使い方、どんな利用の仕方があるでしょう」といった質問である。子どもたちは経験から離れた回答を行うことが難しく、Unusual Uses Testの回答は多く得られなかった。2020年度に大人を対象に行った調査では、Unusual Uses Testで測った創造的思考力と類推の能力の相関が見られたが、小学生では見られなかった。抽象的な思考力が育っていないことも背景にあると考えらえる。 本研究を通して、これまで幼児期で明らかになっていた類推の発達が、児童期にどのように変化するのかが示された。児童期以降の類推を促す方法を考察することで、児童の活用力の育成につながるだろう。
|
Research Products
(1 results)