2021 Fiscal Year Research-status Report
変声期の自己受容と表現を支える児童合唱団の機能と役割
Project/Area Number |
19K14394
|
Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
小井塚 ななえ 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 講師 (40791900)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 音楽 / 声 / コミュニケーション / 変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の前半は、研究中断期間であったことに加えて新型コロナウィルス感染症の流行のため、研究計画の大幅な変更を余儀なくされている。当初の計画においては、児童合唱団における児童と指導者のコミュニケーションデータを収集し、加えて児童への聞き取り調査を実施する予定であったが、合唱活動の多くがオンラインで行われていることや、対面での活動を再開していたとしても成人の音楽コミュニティよりも児童生徒の音楽コミュニティへのフィールドに赴くことが制限されており、データの収集に困難を極めた。 2021年度においては、すでに収集した聞き取り調査のデータの分析を再度行い、新たに以下の点に関して調査を進める必要性が明らかとなった。ひとつには、個人の声に関して「自分の声が好きではない」「あまり好きではない」「嫌い」と評価をする割合が一定数存在し、その背景には現在に至るまでの音楽的な背景や学校教育を含む他者からの評価など人とのかかわりが少なからず影響を与えていることである。この点に関して、音楽的な活動(部活動や習いごとなど)を継続的に行っていた場合と、そうではない場合での比較なども含めて、自身の声をどのようにとらえているのか、そしてそのとらえ方の変容とその要因について自由記述や聞き取り調査を実施し丁寧に見ていく必要がある。また、こうした自己評価が新たな音楽コミュニティにおいてポジティブにあるいはネガティブに働く可能性が示唆され声の自己評価や自己分析について新たな課題が生まれた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの流行に加えて、2020年度後半から2021年度前半に研究中断期間があったのため、フィールドデータの収集について困難をきたしており、予定していた研究計画の大幅な見直しが必要となっている。 また、当初考えていた児童合唱団における児童と指導者の音声コミュニケーションデータの収集を継続的に行うことはこの先も難しいと考えられるため、研究方法と内容の一部を変更して進めることを考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
対面によるフィールドデータの継続的な収集は2022年度においてもかなり制限されると考えている。そのため、研究計画を一部変更し、オンラインインタビューや録画によるデータ提供に切り替えながら遅れている分のデータ収集を行う。また、本年度に明らかとなった声の自己評価とそのプロセスについて当該研究課題との関連の中で新たに調査検討していきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
2020年度後半から2021年度の前半の研究中断期間と新型コロナウィルス感染症拡大に伴い当該研究の計画が大幅に遅れており、次年度に多くの調査が持ち越されていることから翌年度分として請求した助成金に加え新たに使用額が生じている。また研究の方法を対面からオンラインに変更を余儀なくされている部分があるため研究環境を整えるための機材や備品等の購入の必要が生まれている。
|