2022 Fiscal Year Research-status Report
変声期の自己受容と表現を支える児童合唱団の機能と役割
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19K14394
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
小井塚 ななえ 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 講師 (40791900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音楽 / 声 / 自己評価 / 変容 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、多くの合唱団が感染対策を継続しつつも通常の活動を再開し始めたことにより、本研究においてもフィールド調査ならびに対面でのインタビュー調査を実施することができた。今年度は、主に2021年度の研究過程で新たに生じた2つの課題に焦点を当て研究を遂行し、学会発表を行った。 具体的には、年齢や性別、音楽経験年数の異なる人々を対象として実施した自由回答のアンケートの分析を通して、声の自己評価の観点と評価に影響する要因を明らかにすることを試みた。当該研究の実施期間の大半に影響を与えている新型コロナウイルス感染症の出現によって、声への意識そして声を発する身体への意識が大きく変化している。例えば音楽教育の現場では、「マスクをつけて歌う」「心の中で歌う」ということが日常的に行われ、その過程で今まで自分自身がどのように声を出していたのかわからなくなる感覚に陥ったりフィードバックがうまくできなかったりするケースが見受けられる。本調査では、合唱経験者を対象として自由回答形式のアンケートを実施し分析を行い、その考察の過程で改めて自分の声を対象化し捉えなおすことで、声の身体性や歌うことの普遍性、個とコミュニティの関係性の一端が見えた。 この研究により、人間の声の自己評価は所属するコミュニティの影響や社会的な価値観の影響を受けていることが見え、さらに声は身体の一部としての認識が強い傾向にあり、声の評価はその人のアイデンティティと密接に関連していることも同時に示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主に2020年度からの新型コロナウイルス感染症の影響ならびに産休育休取得による研究の進捗状況の遅れが長期に影響を及ぼしている状況である。しかしながら、2022年度は、多くの合唱団が感染対策を継続しつつも通常の活動を再開し始めたことにより、本研究においてもフィールド調査ならびに対面でのインタビュー調査等を再開しており、次年度以降後れを取り戻すべく計画を調整している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度からの新型コロナウイルス感染症の影響ならびに産休育休取得による研究の進捗状況の遅れを取り戻すべく、一部の研究計画を変更し進めることを検討している。具体的には、当初予定していたフィールドを一部変更し、継続的にデータが収集できる環境を整えるとともに、現在の研究成果を論文としてまとめるための整理と分析をすすめる。
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Causes of Carryover |
2020年度からの新型コロナの影響ならびに研究者の産休育休取得による研究計画の見直しに伴い、実施を中止や延期していた当該研究課題の調査研究を実施するため。
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