2022 Fiscal Year Research-status Report
親の子どもへの身体的同調性と調律的応答の関連性の検討
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19K14397
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
蒲谷 槙介 愛知淑徳大学, 心理学部, 准教授 (20758049)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳児 / 心的帰属 / 調律 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,親が乳幼児に対して行う調律的応答と子どもに対する親の身体的同調性の関連性を検証することである。2022年度は,身体的同調性を測定するための実験刺激として用いる予定の360°ビデオクリップに基づいた行動量の時系列データを分析することを通じて,内的状態が帰属されやすい乳児の挙動とそうでない挙動について,Stern(1985)の言う生気情動(vitality affect)の質にいかなる違いがあるのか評価することを試みた。 非養育者としての大学生および乳幼児を子育て中の養育者にVR呈示するための共通乳児ビデオクリップの撮影対象となった各乳児について,内的状態を最も帰属されやすかった映像刺激および最も帰属されにくかった映像刺激を選択し,全14本の動画をMotion Energy Analysis(以下, MEA)の対象とした。MEAで得られた時系列データを撮影対象となった乳児の生気情動の躍動を反映するものと見なし,タウGガイダンス分析(Lee, 2009)を行った。 内的状態「高」映像と内的状態「低」映像とで,三種のタウ統計量(タウガイド率,R二乗値,κ推定値)の平均値には実質的な差異が見出されなかった。ただし内的状態「高」映像と「低」映像とで,各種タウ統計量の分布の様相は異なるものであった。今回タウGガイダンス分析にかけたMEAに基づく時系列データが撮影対象児の行動のいかなる部分を反映しているのかはより慎重な検証が必要であるが,生気情動の質を評価するにあたって,各種タウ統計量の代表値(平均値)のみを参照することは妥当ではなく,データの分布形に着目する必要があることが示唆された。 VR視聴中に大学生および養育者に身体的同調を引き起こしやすい乳児の行動上の特徴を要約する上で,MEAに基づく時系列データをタウGガイダンス分析にかけることが効率的であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020-2021年度と同様,新型コロナウィルス感染拡大防止措置の影響で,VR刺激呈示を行う実験室実験および親子相互作用の観察の実施が当初の予定よりも遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の核となる身体的同調性と調律的応答の関連性の検証が完了していないため,研究期間を1年間延長した。最終年度中に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行することが見込まれるため,現在遅延中のVR呈示実験および親子相互作用の観察を概ね当初の計画通りに実施することを計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大に伴い,計画当初に予定していた海外学会発表に伴う旅費が未使用になったこと,実験・調査の実施が遅延したことにより謝礼にかかる支出が予定通りに執行できなかったことが主要な原因である。今回生じた余剰分は,主に乳幼児を子育て中の養育者の研究参加者募集のためのリクルート・広告費用に充てるとともに,VR呈示実験および親子相互作用の観察にかかる謝礼費用として執行することを検討している。
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