2023 Fiscal Year Annual Research Report
親の子どもへの身体的同調性と調律的応答の関連性の検討
Project/Area Number |
19K14397
|
Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
蒲谷 槙介 愛知淑徳大学, 心理学部, 准教授 (20758049)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 調律的応答 / 身体的同調性 / アタッチメント / VR |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はこれまでの研究過程で構築した乳幼児に対する身体動作計測システムを用いて,大学生27名および乳幼児を子育て中の養育者(母親)9名を対象とした個別のデータ収集を実施した。具体的には,本研究のために作成したオリジナルのVR動画刺激をヘッドマウントディスプレイを通じて参加者に呈示し,乳幼児の躍動的な身体動作を見ている間の参加者の圧力中心(center of pressure)等の微視的な変動をフォースプレートを用いて計測した。身体動作計測システムによる計測に併せて,養育者の個別調査では養育者-乳幼児の相互作用を実験的に観察し,乳幼児のネガティブ情動表出や不従順行動に対して養育者がいかに応ずるのかを,特に調律的応答の有無から検証した。この個別調査では大学生・養育者ともに質問紙法によるアタッチメントスタイルおよび現在・過去の乳幼児との接触経験の度合いを測定しており,これらの要因が乳幼児に対する身体動作の特徴といかなる関連性を有するのか,さらに養育者については,身体動作計測システムで計測された身体動作上の特徴が,実際のわが子との交流の中での調律的側面とどのように関連するのかを検証することが可能となった。さらに,まだ子育てを経験していない大学生と養育者とを比較すること,また大学生の中でも,現在・過去に乳幼児との接触経験を有するか否かで比較することを通じて,乳幼児に対する身体動作の特徴の発達過程を推定することが可能となった。研究期間全体を通じて,異なる発達的段階にある大学生と乳幼児を子育て中の養育者に対して等しく適用可能な身体動作計測システムを構築できたこと,そして,そのオリジナルのシステムを用いることでVR乳幼児動画を見ているときの身体動作における微視的な個人差のデータ化に成功したことが,親による調律的応答を支える要因のさらなる解明につながる主要な成果と言える。
|