2023 Fiscal Year Annual Research Report
追跡調査による2つの中間群大学生の「知覚された無気力」特徴の解明
Project/Area Number |
19K14400
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
住岡 恭子 岡山大学, 社会文化科学学域, 講師 (00805468)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 知覚された無気力 / 学業領域 / 追跡調査 / 潜在曲線モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,学業に積極的でも非積極的でもない中間群大学生の「知覚された無気力」の特徴を,4年間の追跡調査によって明らかにすることであった。 2023年度は,2019年度~2022年度まで毎年1回ずつ実施した4回の調査で得られた結果を分析し,その結果を2本の学会投稿論文と1本の国際学会発表報告にまとめた。 第1回から第4回までの調査に回答した計545名分のデータを,潜在曲線モデルと条件付き潜在曲線モデルによって分析し,学業領域の知覚された無気力における発達的変化について明らかにした。その結果,労力回避と達成非重視は経年的に増加しているが,葛藤には経年的変化がみられないこと,男性の方が女性よりも労力回避と達成非重視の初期値が高く,女性の方が男性よりも葛藤の初期値が高いこと,私立大学在学者は国公立大学在学者よりも達成非重視の初期値が高いこと,Time 1での学年が高い学生の方が,学年が低い学生と比べて全ての下位尺度の初期値が高く,さらに労力回避と達成非重視の変化率はTime 1での学年が高くなるにつれて低下することが示された。また大学生の多くは当初,勉強や資格取得などの学業に主に重点をおいているが,その後の学生生活のなかで重点をおく項目が移り変わること,知覚された無気力は,大学内の活動に重点をおいている学生には生じにくく,大学外の活動に重点をおいている学生には生じやすいこと,大学満足度の初期値は労力回避や達成非重視の初期値と関わっており,葛藤と達成非重視の初期値は大学満足度の経年的な変化率に関連していること,労力回避の経年変化には趣味への重点,葛藤の経年変化には自己探求の重点,達成非重視の経年変化には教員への満足度が,それぞれ特徴的に関わっていることが明らかになった。
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