2020 Fiscal Year Research-status Report
感謝の向社会的行動動機づけ機能に関する発達心理学的研究
Project/Area Number |
19K14401
|
Research Institution | Osaka Seikei University |
Principal Investigator |
清水 真由子 大阪成蹊大学, 教育学部, 講師 (60707793)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 感謝 / 向社会的行動 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
感謝の発達に関して、誰かに助けてもらったら、「ありがとう」という言語的に感謝を表す行動を3歳頃から幼児は自発的に示すようになる。しかし礼儀正しく振舞うこととどういった状況で感謝を感じ、感謝を感じたときにはどのように振舞うのかという「感謝理解」は異なることも指摘されている (Freitas et al., 2011)。Nelson et al. (2013) は幼児期に感謝が理解されているのか、また感謝理解にはどのような要因が影響するのかを、紙芝居形式の課題を用いて検討している。その結果、5歳児は完全には理解していないものの一定程度の感謝理解を示すことや、5歳時点の感謝理解の程度は3歳時点での感情理解、4歳時点での心的状態理解によって予測できることが示されている。 感謝と一口に言っても、他者の善意をありがたいと感じることもあれば、申し訳ないと感じることもある。文化比較研究から、日本人では感謝が生起されやすい状況での感情体験として、「心苦しい」という負債感や申し訳なさが生じやすいことが報告されている。先に述べたNelson et al. の先行研究はアメリカで実施された研究であるが、日本の幼児の感謝理解と違いがみられるのかはこれまで検討されていない 本研究は、幼児期の感謝理解の特徴を明らかにすることと、その特徴に文化差が見られるのかを検討することを目的とした。 2020年度は、感謝理解を測定するための課題場面における、子どもへのインタビュー内容のトランスクリプションを作成し、分析を行った。具体的には、①他者から好意を受けた状況でのポジティブ感情、ネガティブ感情の生起の有無、②ポジティブ感情、ネガティブ感情が好意を施した相手と結びついているか、③好意を施した相手が困っていれば助けるべきか、助けるのであればその理由、という3つの項目から分析を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すでに実施済みの課題場面におけるインタビュー内容の分析は行えた。しかし、当初予定していた自由遊び場面での行動観察は、新型コロナウィルスによる影響で実施が難しかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
大阪府下の感染状況の改善が見られなければ、フィールドでの行動観察は難しいだろう。すでに実施済みの課題に関して、文化比較も含め詳細な分析を行う予定でいる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスにより、発表を予定していた国際学会が延期となった。また予定していた保育所におけるフィールドワークも中止となったため、当初予定していた旅費の執行がなくなり、次年度使用額が生じた。 次年度、感染状況をみながらではあるがフィールドワークの再開を目指すこと、加えてすでに収集されたインタビュー内容の分析手法の改良を目指すことを計画している。
|
Research Products
(1 results)