2019 Fiscal Year Research-status Report
他者のネガティブ情動を効果的に調整可能な方略の解明:情動強度に応じた有効性の検証
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19K14402
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
野崎 優樹 甲南大学, 文学部, 講師 (50801396)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 情動調整 / 情動コンピテンス / 社会情緒的能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,情動強度に応じた,他者のネガティブな情動を効果的に調整可能な方略を解明することである。本年度は,調査の実施と結果の取りまとめを中心に行った。調査内容としては,具体的には,オンライン上で,情動調整の受け手の参加者が,自分が最近ネガティブ情動を感じた出来事とその時の自分の気持ちを記述し,情動制御の与え手の参加者に向けて送信した。その際に,その出来事のネガティブ度を5段階で評定した。そして,情動制御の与え手の参加者が,他の参加者が書いた記述の内容を読み,その人のネガティブ情動をなるべく和らげるような返信を書いた。その後,受け手の参加者は返信内容を読み,「返信を読んでネガティブ情動が和らいだ程度」を5段階で評定した。 得られたテキストデータのうち,初めに参加者が投稿した「ネガティブ感情を感じた出来事」について,第三者の評定者が,そのネガティブ感情の強さとその種類に関するコーディングと集計を行った。また,予備的なデータに関して,国際学会のInternational Society for the Study of Individual Differences 2019で研究発表を行い,他の参加者からの有益なフィードバックを得た。 さらに,「他者の情動の調整」に関する定義と心理的モデルを議論したレビュー論文を執筆し,この論文が『Emotion』誌に掲載された。さらに,他者の情動の調整を含む心理尺度に関する研究論文を執筆し,この論文が『PLoS ONE』誌に掲載された。また,友人同士の対面コミュケーションを対象とし,ビデオで録画を行うことで,対面でのコミュニケーション場面での「他者の感情の調整」を捉えるための新たな研究の実施に向けて,予備的なデータの収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに調査や結果の議論を行うことができ,また研究成果について学会発表や国際誌における論文の形で報告を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も調査で取得したデータ解析を進め,受け手の情動強度の強さに応じた,他者の情動を効果的に調整可能な方略の解明を目指す予定である。そして,得られた結果について,国際誌での論文発表を目指すことを計画している。
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Causes of Carryover |
2020年度に,第三者の評定者による方略のコーディングも行う予定であったが,評定者を集めることができず,実施することができなかった。そのため,このコーディングは2021年度に行う。
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Research Products
(9 results)