2021 Fiscal Year Research-status Report
大学生のためのアプリ版生活分析的カウンセリング法による抑うつ軽減プログラムの開発
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19K14403
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Research Institution | Kobe Shinwa Women's University |
Principal Investigator |
松本 麻友子 神戸親和女子大学, 文学部, 准教授 (00771693)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抑うつ / 生活分析的カウンセリング法(LAC法) / 心理教育 / アプリケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大学の講義で導入し、かつ日常生活においても実施可能なスマートフォン向けアプリケーションを用いた生活分析的カウンセリング法(Life Analytic Counseling; LAC法)による抑うつ軽減プログラムを開発し、短期的・長期的な効果を明らかにすることを目的としている。 本年度は研究計画に基づき、抑うつ軽減プログラムのアプリケーションを作成し、効果検証を行う予定であった。 しかし、コロナ禍の影響で大学生に従来の手法を用いたプログラムを実施することが難しく、また反復的な自粛生活に伴う大学生のメンタルヘルスの悪化が懸念された。そこで、大学生のメンタルヘルスや学習・生活習慣がどのように変化したかを明らかにすることを目的に追跡調査を行った。追跡調査では、昨年度の調査協力者を対象に抑うつおよび、抑うつの影響要因として個人特性(反すう、セルフコントロール、自律性欲求、レジリエンス等)、生活習慣(学習時間、アルバイト時間、睡眠時間、余暇活動、生活満足度)に関する質問紙調査を実施した。その結果、60.0%の学生が高い抑うつ傾向を示していることが明らかとなった。そこで、この一年間に抑うつが悪化した学生(悪化群)、軽減した学生(軽減群)、あまり変化がみられなかった学生(非抑うつ群・抑うつ傾向群)の4群に分類し、学習時間や生活習慣について比較したところ、抑うつの程度によって学習時間や生活習慣が異なることが見いだされた。また、反すうやセルフコントロールが抑うつの悪化や持続に影響を及ぼしていることが示唆された。 なお、この知見については、次年度に学会発表および学術論文として公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)コロナ禍における抑うつと学習・生活習慣の追跡調査 昨年度に実施した調査結果に関しては、学会発表および学術論文として公表することができた。また、コロナ禍が長期化している現状において抑うつや学習・生活習慣の変化について追跡調査を実施した。 (2)アプリケーション版抑うつ軽減プログラムの作成 本年度の計画は、大学生を対象にLAC法によるアプリケーション版の抑うつ軽減プログラムを作成し、効果検証を行うことであった。LAC法は大学生が生活習慣を見直し、セルフコントロールすることを目指したものである。しかし、感染拡大による急な授業形態の変更や反復的な自粛生活の継続など大学生にとって予測不能な状況が続き、生活習慣を整えることが困難となった。そのため、研究の性質上、プログラムの大幅な修正が必要となり、アプリケーションの試作まで至らず、計画から遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、スマートフォン向けアプリケーションを用いたLAC法による抑うつ軽減プログラムを試作する。まず、本年度の調査結果を踏まえ、心理教育の一環として実施可能なアプリケーションを作成する。続いて、大学生を対象にアプリケーション版のプログラムを2週間試験的に実施する。なお、調査参加者の募集やプログラムの説明、介入等は全てweb上で実施する。さらに、対象者にプログラムの閲覧頻度や使用感、難易度等について面接調査を実施する。これらの結果をもとに介入方法や内容を精査し、プログラムを洗練させる。最終的に、完成したプログラムを大学生に実施し、抑うつ軽減効果が得られるかどうか検証する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用が生じた理由】研究の実施状況が計画よりも遅れており、アプリケーション作成やプログラムの試験的実施には至らなかった。そのため、アプリケーション作成のための外注費、プログラム試行に伴う調査費等が執行されておらず、次年度使用額が生じている。 【使用計画】アプリケーション作成のための外注費、調査参加者への謝金、成果発表のための費用として使用する予定である。
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