2019 Fiscal Year Research-status Report
親子の愛着課題の二重負荷構造への介入を通したひきこもりへの家族支援プログラム開発
Project/Area Number |
19K14408
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 暢一朗 北海道大学, 学生相談総合センター, 准教授 (90722091)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ひきこもり / 家族支援 / 愛着 / アタッチメント / ポリヴェーガル理論 / 防衛反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1.外部支援につなげるための達成課題の分析 研究1は外部資源につながるまでに必要な段階的な達成課題を明らかにすることを目的としている。新型コロナウイルス感染拡大の影響のため、インタビュー調査及び事例検討会が延期となっているため、文献調査を中心に研究を進めた。 従来から指摘されていたひきこもりの心理構造について、ポリヴェーガル理論に基づく視点からの考察を通して、ひきこもりを防衛反応の文脈から捉え直した。ひきこもりは周囲からは感情抑制的で対人接触を避ける傾向にあるため、そうした表出面だけを考えれば、回避型のアタッチメントスタイルに分類されるとも考えることもできる。しかし、感情抑制や対人接触回避が防衛反応であるならば、アタッチメントスタイルは必ずしも回避型に分類されるとは限らない。したがって、家族の関わり方もそれに応じて検討していくことが求められると考えられる。 そもそも家族は子どものひきこもり状態を本人の意思や選択として捉える傾向がある。そのため、本人を説得しようと試みたり、叱咤激励をすることで、本人のひきこもり傾向を強めてしまう悪循環が考えられる。本人の意思とは別に生じる防衛反応の一形態として捉え直すことで、家族はそれまでと異なる保護的な対応が可能となる。これは本人のひきこもり状態をただ受容する従来の家族支援方法とは異なり、ひきこもりに陥る防衛反応パターンに働きかけることができるものと期待される。そして、防衛反応によって隠れてしまっていた本来のアタッチメントスタイルに応じた周囲の関わりが、本人の安全感を構築し、第三者の支援を受け入れていくための心理的な基盤に働きかけるものと期待される。 今年度の成果を踏まえて、次年度は今年度に実施できなかったアセスメントツールの作成と家族支援プログラムの試行を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響のため、インタビュー調査及び事例検討会を中止したことに伴い、その成果に基づく質問紙調査及び家族支援プログラムの試行も中止している状況のため、進捗は当初の予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大の影響のため、対面でのインタビュー調査及び事例検討会の開催は次年度も実施が困難であると予想されるため、ビデオ会議システム等を利用した遠隔での調査及び会合の実施を検討する。 家族支援プログラムについても、オンラインでの開催方法を検討し、その方法に合わせたプログラムを作成していくこととする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、インタビュー調査、事例検討会、質問紙調査、家族支援プログラムの試行が中止となったため、旅費、人件費・謝金等の支出が予定よりも少なくなった。2019年度に実施できなかった内容については、遠隔等の方法により次年度に実施し、繰り越した使用予定額分もその計画に合わせて使用する予定である。
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