2023 Fiscal Year Annual Research Report
親子の愛着課題の二重負荷構造への介入を通したひきこもりへの家族支援プログラム開発
Project/Area Number |
19K14408
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
齋藤 暢一朗 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (90722091)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ひきこもり / 家族支援 / 家族相談 / 心理教育 / アタッチメント / 想像する力 / メンタライゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はオンライン形式で参加できるプログラムとして、心理教育と個別の家族相談からなるプログラムを作成した。オンラインでの心理教育はオンデマンド型の全6回からなる講義形式で構成した。1回あたりの講義は60分程度の時間で作成した。各回は「1.ひきこもりの構造」「2.お子さんの理解」「3.メンタルヘルスの理解」「4.お子さんとの関わり方」「5.対応の視点」「6.外部支援について知る」のテーマで設定した。6回のプログラムを受講した参加者に対して、オンラインでの個別家族相談を実施し、心理教育プログラムの内容を各家族が実践するうえでの助言等を行った。 11家族が参加し、全参加者が全てのプログラムを受講した。参加前後で質問紙形式のデータを収集し、効果検証を行った。さらに、プログラム参加者へのインタビューを実施した。インタビューはプログラムに対する感想や意見のほか、家族が内面を想像することの観点からも日頃の家庭内での家族との関りについてインタビューした。内面を想像することの意義とともに、問題の経過のなかで家族が抱く不安や焦りが内面への想像を阻害する過程も明らかになり、ひきこもりの家族支援のあり方についての知見が得られた。 研究期間全体を通して、親子の愛着の課題を踏まえたひきこもりの家族支援を行っていくためには、家族が子どもや家族自身の内面を想像する力を回復する支援が有効であると考えられた。そのためには家族が子どもや自らの問題を客観的に理解するための心理教育が有効であることに加えて、専門家のコンサルテーションを通した関り方への助言と、自らの不安や傷つきなどについて整理するためのカウンセリングとを併用することの意義も見出された。今回の家族サポートプログラムはこれらの支援を包括することで支援内容の相乗効果が生まれ、ひきこもりの長期化の予防やひきこもりの悪化を防ぐことにつながることが期待できる。
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