2019 Fiscal Year Research-status Report
マインドフルネス瞑想による過敏性腸症候群の症状改善と脳波正常化の効果検討
Project/Area Number |
19K14410
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村椿 智彦 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70741007)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マインドフルネス / 過敏性腸症候群 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)は代表的なストレス関連疾患である。IBSの消化器症状や精神症状の改善には心理療法が有効であり、近年、マインドフルネスに基づく心理療法が注目されている。IBSでは脳波のα-power減衰とβ-power増強があり、corticotropin-releasing hormone拮抗薬投与により、これらの脳波異常が正常化するとともに消化器症状が改善することが報告されている。マインドフルネスの脳波研究では、健常者においてα-powerとθ-powerを増強させることを報告している。また、マインドフルネス心理療法による、IBS重症度の改善効果が報告されている。そこで、本研究では、マインドフルネス瞑想によりIBSにおける自覚ストレスおよび消化器症状が脳波のα-power減衰とβ-power増強の正常化を伴って改善することを検証する。 本年度は、次年度に実施を目指している本検査に向けた準備期間として、脳波および心拍変動、呼吸変動、皮膚コンダクタンスを測定する実験室の環境構築と各種生理指標の測定機器の整備にあたった。また、マインドフルネス瞑想訓練を行うための瞑想教示文や配布資料、そして自宅練習用の音声ガイドを作成した。さらに、マインドフルネス瞑想実施による腹部症状や心理状態の変化、瞑想により体験したことなどを記録する媒体(紙面およびオンライン入力フォーム)を作成した。これまでの研究では、単回のマインドフルネス瞑想では、瞑想後にIBSにおける腹部不快感といった一部の腹部症状が健常者に比べて低下する効果が認められたが、脳波の改善は認められなかった。一定期間の瞑想訓練を実施することで、主観的な症状や気分そして生理的変化があらわれることを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な目標であった、検査環境の整備を終えることができた。もう一つの目標であった、パイロット検査を実施することはできなかった。本年度の活動として重点を置いていた次年度に実施を予定している各種生理検査の環境設定と機器設定を行うとともに、瞑想訓練で使用する音声ガイドや記録媒体を作成を終えることができたため、進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まずパイロットとして数名を対象に瞑想訓練および生理検査を実施する。問題があれば適宜改善につとめる。これと並行して、本検査に参加する対象者を募集し、スクリーニングを実施し、時期を見て本検査を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度末にパイロット検査を実施予定であったが実施できなかったため、検査消耗品や謝金関連の支出が生じなかった。これに加えて、データ解析に関わるソフトウェアの購入もおこなわなかったため、次年度使用額が生じた。次年度において実施するパイロット検査に伴う消耗品の購入と謝金支払い、データ解析に備えて必要となるソフトウェアの購入の費用として使用する計画である。
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