2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14413
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
石川 亮太郎 大正大学, 心理社会学部, 専任講師 (80625608)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 加害型対人恐怖症 / 認知行動理論 / 社交不安症 |
Outline of Annual Research Achievements |
加害型対人恐怖症(Offensive type of Taijin-Kyofu-Sho)は、自らの身体的特徴(例、体臭、視線、表情など)が、他者に不快感を与えてしまうのではという心配と加害感により、対人場面を過度に回避する症状である。加害型対人恐怖をもつ当事者は、その恐怖を一時的に軽減するための安全行動を過度におこなってしまう(例: 体臭を消すために消臭スプレーを使用したり、自分の体臭を繰り返し確認したりする行動がやめられない)。 本年度の研究では、加害型対人恐怖症状の4タイプ(自己臭恐怖・自己視線恐怖・自己表情恐怖・醜貌恐怖)の認知的症状・行動的症状の評価が可能な自記式の心理尺度を開発し、その妥当性と信頼性(内的整合性)を検証した。学生サンプル(n=811, Mean age = 20, SD=1.270)を対象にした調査の結果、著者らによって作成された加害型対人恐怖症尺度は28項目、4因子構造(自己臭・自己視線・自己表情・醜貌恐怖)であり、十分な内的整合性(α=.870 ~ .927)を有していることが確認された。また、仮説通り、加害型対人恐怖症尺度は、既存の対人恐怖症尺度(r= .773, p < .001)や社交不安症尺度(r= .568, p < .001)と有意に相関しており、当該尺度の構成概念妥当性が確認された。本研究によって作成された加害型対人恐怖尺度は、加害型対人恐怖の症状に苦しむ当事者のアセスメントやその治療効果の評定、さらには、加害型対人恐怖に関する心理学的調査や実験研究等において幅広く使用されていくと考えらえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で開発した加害型対人恐怖尺度の項目は、社交不安症、対人恐怖症、統合失調症などを専門としている複数の専門家から意見を聴取して作成されたものである。そのため、項目等の尺度構成を決定するのに多くの時間を要した。また、質問紙調査の実施において、目標サンプル数をリクルートするのに多くの時間を要した。以上の理由により、本研究課題の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施された質問紙調査に参加した対象者のうち、社交不安症のスクリーニング基準を満たす者のみを分析対象者として抽出し、加害型対人恐怖症尺度の妥当性と信頼性を検証するための更なる分析をおこなう。加えて、コミュニティサンプルを対象にした追加調査をおこない、加害型対人恐怖症が維持されるメカニズムを説明する認知行動モデルについて検証していく。
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Causes of Carryover |
主な理由として、コミュニティサンプルを対象にしたWEB調査を当該年度に実施することができず延期となったため、次年度使用額が生じた。また、WEB調査実施の遅れに伴い、論文投稿も遅れているため、論文投稿に関わる費用等(英文校閲費)が次年度使用額として生じた。
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