2022 Fiscal Year Annual Research Report
ASD者に特化した就労準備性の探索と適切なアセスメント方法の開発
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19K14417
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西村 大樹 岡山大学, 教育推進機構, 助教 (20832976)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 就労準備性 / アセスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,青年期以降の自閉スペクトラム症(ASD)患者の支援,特に就労に関する支援に注目が集まっている。しかし,ASDの就労に関する実証的な研究は少なく,標準化されたアセスメントツールも限られている。そこで我々は,ASDの当事者が安定的に就労するために必要な要因について明らかにし,ASDに特化した就労準備性のアセスメントツールを開発することを目的に研究を実施した。 これまでのに,ASD患者へのインタビュー調査や一般人口(非臨床群)を対象とした質問紙調査を行い,5因子39項目(「仕事に必要なスキル」,「健康維持」,「基本的労働習慣」,「社会生活」,「自己理解」)からなる「自閉スペクトラム症傾向者の就労準備性評価尺度」を作成した。2022年度は,ASDの診断有する者(臨床群54名)を対象に調査を行い,更なる妥当性の検証を行った。 就労の有無・臨床群/非臨床群を独立変数,「自閉スペクトラム症傾向者の就労準備性評価尺度」を従属変数とした多変量分散分析を行った。その結果,交互作用は認められず,「仕事に必要なスキル」・「基本的労働習慣」・「社会生活」において就労の有無の主効果が認められた。「仕事に必要なスキル」と「社会生活」は中程度の効果量が,「基本的労働習慣」は大きな効果量が認められた。また,「社会生活」においては臨床群/非臨床群の主効果も認められ,効果量は小さかった。 これらの結果から,「自閉スペクトラム症傾向者の就労準備性評価尺度」には一定の妥当性があることが示唆されたが,臨床的な有用性に関しては更なる検討が必要と考えられた。
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Research Products
(2 results)