2019 Fiscal Year Research-status Report
小規模な臨床試験に適用可能な患者報告式アウトカムの反応シフトの検出手法の開発
Project/Area Number |
19K14419
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
竹林 由武 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00747537)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反応シフト / 患者報告式アウトカム / 心理療法 / 臨床試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者が自身の状態を自己報告するアウトカム (Patient-reported outcome: PRO)において、介入の前後で個人内の判断基準が変化し、介入前後 でPRO得点が質的に変化することがあり、反応シフト (response shift)と呼ばれる。反応シフトは介入効果の推定にバイアスを生じさせる (Ring et al., 2005)。本研究では、少中規模の精神療法の臨床試験においてPROの反応シフトを検出する方法を開発し、うつ病や不安症に対する標 準的な心理療法の効果評価に反応シフトが及ぼす影響を検討することを目的とする。その際、精神症状だけでなく、生活の質 (Quality of Lif e: QOL)やウェルビーイング といった主要なPROの反応シフトを検出し、効果評価に及ぼす影響を検討する。初年度である本年度においては、小中規模 (症例数20 - 50程度)の臨床試験データに適用可能な反応シフトの検出方法を開発することが目的であった。 初年度である本年度は、研究実施体制の整備を行った。具体的には、データ提供元である国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターと連携し、臨床試験データの提供体制およびデータベースの整備(アウトカム指標の整理、統合など)を進めた。並行して、反応シフトの検出方法の開発の向けて、ベイズ統計モデリングを活用したモデルの推定に必要なソフトウェアプログラムに関する周辺知識などの情報収集や文献調査を進めた。加えて、ウェルビーイングをアウトカムとした臨床試験から反応シフトを検討する研究3に向けて、ウェルビーイング療法の臨床試験の実施体制の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
反応シフトの検出プログラムの開発とシミュレーションによる検討までが本年度の目標であったが、プログラム開発およびシミュレーションの実施に必要な周辺知識の収集と習得に想定以上の時間を要していることが遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
反応シフトの検出プログラムとシミュレーションの実施を進めるために、心理統計等の専門家との連携を強化する。
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Causes of Carryover |
本年度はシミュレーション実施のためのPC購入と国際学会での研究知見の発表のための予算執行を予定していたが、反応シフト検出モデルの開発の遅延によって未執行である。それらの予算執行は次年度以降に行うが、国際学会発表はCOVID-19の感染拡大状況から、執行額は計画よりも少ないものとなる可能性がある。
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