2019 Fiscal Year Research-status Report
重度精神障害者を介護する家族の感情評価尺度の開発ー介護過程の曼荼羅的理解ー
Project/Area Number |
19K14420
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
白石 直 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (30632989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の研究成果として,暫定版の新規尺度を完成した。研究責任者は,精神障害者を介護することのどのような側面が家族の感情を引き起こすかを既に同定している(Shiraishi & Reilly. Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol 2018)。この先行研究をもとに家族のネガティブ感情(anger,confusion,depression,fatigue,anxiety,guilt,shame)およびポジティブ感情を5段階で測定する暫定版の自記式評価尺度を,以下の手順で完成した。
1)先行研究のナラティブな分析から,家族介護者にネガティブおよびポジティブ感情を引き起こす認知的側面を抽出し,研究責任者が尺度項目を作成した。2)それらの質問に,多職種の医療専門家からなる研究チームで検討を加え,暫定版尺度が作成された。3)精神障害者の家族介護者に暫定版尺度を確認してもらい,不適切な表現の有無や不適切な場合の代替表現案などの意見を聴取し、研究チームで修正した。4)2と3のプロセスを繰り返し,研究チームのメンバー全員から修正箇所の承認が得られたため,72項目から成る暫定版尺度の完成とした。
暫定版尺度の内容的妥当性(内容が目的とした構成概念を十分に反映している程度)を,以下のように担保した。概念モデルに関する情報は,先行研究で検討済である。その質的研究の系統的レビューから研究責任者により尺度項目が作成された。次に,研究チームにより全項目が,①構成概念が包括的に項目に反映されているか,②構成概念の側面を反映しているか,③目的とする母集団と関連しているか,④測定指標の目的と関連しているかの4点において吟味された。さらに、精神障害者の家族介護者により全項目の包括性および関連性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
暫定版の新規尺度を完成させるという令和元年度の研究実施計画が達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度以降の研究実施計画に従い,因子構造および内的一貫性,再テスト信頼性,収束的・弁別的妥当性の検討のため,医療機関でデータ収集を行いたいが,新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,現場で被験者に尺度を実施することが極めて難しくなっている。そのため,やむを得ず当初の研究計画を変更し,上記の検討をインターネット調査で行う対応策を進めている。
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