2020 Fiscal Year Research-status Report
重度精神障害者を介護する家族の感情評価尺度の開発ー介護過程の曼荼羅的理解ー
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19K14420
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
白石 直 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (30632989)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Protocol registration / 尺度特性 / 妥当性 / 信頼性 / バックトランスレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度に実施した研究の成果として、第一点は、36項目から成る新規尺度の完成。第二点は、その妥当性と信頼性を検証する方法を定めたプロトコルの登録の準備がある。 第一点では、家族にネガティブおよびポジティブ感情を引き起こす介護の側面ごとに各感情(Anger-Frustration, Surprise-Confusion, Sadness-Fatigue, Fear-Anxiety, Guilt-Shame)を5段階で測定する72項目の質問から36項目を選択、修正した。その意義は、新規尺度の理論的背景である質的研究の系統的レビューが統合失調症を対象としていたため、他の重症精神疾患(統合失調感情障害/躁うつ病/慢性うつ病/強迫症/神経性やせ症)にも適用を広げることにあった。適用疾患の拡大は、新規尺度の汎用性を高める点で重要である。 第二点では、研究プロトコルを英文化し、国際学術雑誌への投稿・登録を準備した。その意義は、英文化の過程を通して、データ収集および統計解析の方法を見直し、研究の質を高めることにあった。検証する尺度特性(structural validity, internal consistency, test-retest reliability, measurement error, construct validityおよびcriterion validity)について、データ収集前に研究プロトコルを登録・公開することは解析結果の信頼性を高める点で重要である。加えて、バックトランスレーションを行い、新規尺度の英語版を作成した。その意義は、今後、日本人以外の文化的背景をもつ集団への新規尺度の異文化間妥当性を検証可能とすることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際ジャーナルに研究プロトコルが受理され次第、データ収集を行う。データ収集は、オンライン調査を用いるため、約2週間で調査が完了する予定である。 オンライン調査を用いる理由として、新型コロナウイルス感染の流行の遷延から、当初計画していた実地調査は現実的に難しい状況がある。また、オンライン調査は、より一般化可能なサンプルを対象にでき、欠損値が生じないため、実地調査より尺度研究として優れた手法であることがある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、当初の計画以上に進展しているため、現在の計画で着実に遂行していく。データ収集を完了し次第、速やかに登録した研究プロトコルに従い、統計解析を行う。その結果を査読付き学術学術雑誌に投稿することを始め、広く発信する予定である。
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Causes of Carryover |
IT企業の楽天インサイトに依頼し、インターネット上で調査システムを構築したため次年度使用額が生じた。その費用は、令和3年度に予定しているオンライン調査を実施する上で必要なものであった。
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