2020 Fiscal Year Research-status Report

Developing a Psychological Support Model utilising Pop culture

Research Project

Project/Area Number	19K14422
Research Institution	Prefectural University of Hiroshima
Principal Investigator	笹倉尚子県立広島大学, 公私立大学の部局等(広島キャンパス), 講師 (00800913)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	心理支援 / 思春期・青年期 / ポップカルチャー / サブカルチャー / 漫画・アニメ / ゲーム
Outline of Annual Research Achievements	心理支援に関する事例研究の中には、漫画やアニメ、ゲーム等のポップカルチャーの話題を扱うことが有効に働いた例がある。本研究はカウンセラーが心理支援のなかでポップカルチャーの話題をどのように扱い活用しているのかについて、量的・質的調査によって明らかにすることを目的として遂行された。 2020年度はまず、全国の教育センター、学生相談室等に勤務する思春期・青年期への心理支援の経験を持つカウンセラーに対し、オンラインでのアンケート調査（本調査）を実施した。その結果、98名から回答を得、心理支援におけるポップカルチャーの話題がクライエントにとっては話しやすく、またカウンセラーにとっては重要な情報源であること、さらには関係作りや問題解決のためのリソースとなりうる可能性が示唆された。同時に、ポップカルチャーの話題にばかり焦点づけることで、クライエントの抱える問題や課題に取り組みづらくなるといった問題点も見出された。これらの成果の一部については、日本心理臨床学会第39回大会にてポスター発表を行うとともに、紀要論文としてまとめた。また統計的分析の結果については、次年度の心理臨床学会第40回大会でポスター発表を行う予定である。続いて、心理支援においてポップカルチャーの話題を扱った経験を持つカウンセラーを対象に、オンラインでのインタビュー調査を実施した。ポップカルチャーの話題の活用に積極的でないカウンセラーも含め、現在までに19名のインタビューが完了している。次年度は引き続きインタビュー調査を実施するとともに、M-GTAによるデータの分析を行い、アンケート調査で得られた知見を補完する予定である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 当初はインタビュー調査を2020年度内に完了する予定であったが、目標の件数に達しなかったため「やや遅れている」と判断した。その背景として、コロナウィルス感染症の流行と緊急事態宣言発令の影響を受け、オンライン調査の切り替えに時間を要するとともに調査協力者の募集が難航したこと、それらにより調査計画全体が遅延したことがあげられる。
Strategy for Future Research Activity	研究目的達成のため、研究期間の延長申請を行い承認された。研究の最終年度は、心理支援においてポップカルチャーの話題をどのように扱い、活用しているのかについて、さらにカウンセラー10名程度にインタビュー調査を実施する。並行して、M-GTAによりインタビューデータの分析を行う予定である。それらの結果をアンケート調査の結果と統合することにより、心理支援におけるポップカルチャーの話題の活用について、実践的かつ具体的な方法論が描き出せるものと予想される。
Causes of Carryover	コロナウィルス流行に伴いインタビュー調査をオンラインに切り替えたため、旅費が発生しなかった。同時にインタビュー調査の予定が遅延したため、謝金に未使用額が生じた。次年度は残りのインタビュー調査を完了するとともに、迅速な分析作業のため質的データ分析ソフトウェアの購入を予定している。