2021 Fiscal Year Research-status Report
Developing a Psychological Support Model utilising Pop culture
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19K14422
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
笹倉 尚子 県立広島大学, 公私立大学の部局等(広島キャンパス), 准教授 (00800913)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心理支援 / 思春期・青年期 / ポップカルチャー / サブカルチャー / 漫画・アニメ・ゲーム / 心理臨床 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カウンセラーが心理支援のなかでゲームやアニメといったポップカルチャーをどのように扱い、活用しているのかについて、量的・質的調査を行い明らかにすることを目的として遂行された。 2021年度は、全国の教育センターや学生相談室のカウンセラー98名へのアンケート調査の結果の分析を行った。その結果、ポップカルチャーの話題を聞いた経験が「非常によくある」が26%、「しばしばある」が49%、逆に「全くない」が0%と、思春期・青年期の心理支援においてポップカルチャーが話題になる可能性が非常に高いことが明らかとなった。話題の内容はアニメ、ゲーム、漫画の順に多かった。また心理支援においてカウンセラーがポップカルチャーの話題を扱うときの体験・態度について因子分析を行ったところ、(1)クライエント理解に活かそうとする視点(そのために積極的に知ろうとする姿勢を含む)、(2)セラピストの自己開示、(3)関係づくりやリソースの拡大につながるという手ごたえ、(4)心理支援を妨げる懸念、これらの4つの要素が抽出された。さらにクラスター分析を行った結果、心理支援においてポップカルチャーの話題を積極的に活用する「活用群」と、活用に対してはケースバイケースだが、支援を妨げる懸念が強い「慎重群」、特に活用しようとしない「消極群」という3つのグループに分類された。これらの結果については日本心理臨床学会第40回大会でポスター発表を行った。さらに、心理支援においてポップカルチャーの話題を扱った経験のあるカウンセラー21名に対してのインタビュー調査は既に完了している。今後はM-GTAによりデータの分析を行い、アンケート調査で得られた各群の特徴や背景について考察を深める予定である。 こうした研究結果と関連して、日本心理臨床学会第40回大会での自主シンポジウムを開催、第59回全国学生相談研修会で小講義を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により全国的に心理支援業務が多忙となり、インタビュー協力者との予定の調整が難航したこと、それにより分析作業が遅延したことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的達成のため、再度の研究期間の延長申請を行い承認された。 研究の最終年度は、インタビューデータの分析を行い、「活用群」のカウンセラーが心理支援においてポップカルチャーの話題をどのように活用しているのか、あるいは「慎重群」や「消極群」のカウンセラーがどういった点を懸念しているのかを明らかにすることを予定している。それにより、ポップカルチャーの話題の活用について、より実践的かつ具体的な方法論を描きだすことを目指す。
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