2022 Fiscal Year Annual Research Report
Developing a Psychological Support Model utilising Pop culture
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19K14422
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
笹倉 尚子 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 准教授 (00800913)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心理支援 / 思春期・青年期 / ポップカルチャー / サブカルチャー / 漫画・アニメ・ゲーム / カウンセリング / プレイセラピー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2022年度は、カウンセラー20名のインタビューデータについて修正版グランデッドセオリーアプローチにより分析した。対象者の勤務先は小学校・中学校・高校、自治体教育センター、児童精神科、児童養護施設等であった。平均年齢は36.4歳(SD=7.5)、臨床経験の平均年数は10.0年であった(最短2年、最長30年)。 その結果、9つのカテゴリー、20の概念が見出された。まずカウンセラーはクライエントの好きなポップカルチャーをめぐるやりとりを通じて「つながり」を作ろうとする。子どもにとってアニメやゲームの話題に関心を持ってくれる大人の存在は貴重であり、また好きなものの話題は緊張を和ませるための緩衝材としても機能する。このようにして、好きなものについて自由に話せる【安心できる場】が作られるとともに、次第にそれが自分自身や困りごとについて【話せる場】へと変容していくプロセスが見出された。 また【クライエント理解に活かす】【コンサルテーションへの活用】のように、ポップカルチャーに関する語りがクライエントの内面や能力の理解に役立つとともに、他職種に見立てを伝える際の有用な素材になりうることも明らかとなった。さらには面接室内でともにiPadを見る、隣り合ってテレビゲームをするなど、ポップカルチャーを直接【共有する】ことで心理支援がスムーズになる例も示された。これらの研究結果と関連して日本心理臨床学会第41回大会での自主シンポジウムを開催し、次年度の会員企画シンポジウムでも発表を行う予定である。 本研究期間全体の量的・質的調査を通じて、「ポップカルチャーを活用した心理支援」について一定のモデルが示された。関係づくりのきっかけや安心して話せる場の構築、クライエントの内面理解、関係者へのコンサルテーションにポップカルチャーを活用することが、有効な心理支援として機能することが明らかとなった。
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