2021 Fiscal Year Research-status Report
アルコール使用障害が併発した心的外傷後ストレス障害に対する認知処理療法の適用
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19K14424
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
高岸 百合子 駿河台大学, 心理学部, 准教授 (40578564)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心的外傷後ストレス障害 / アルコール使用障害 / 認知処理療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,これまでに作成した心的外傷後ストレス障害 (PTSD) とアルコール使用障害 (AUD) の併存症 (PTSD/AUD) に対して認知処理療法 (Cognitive Processing Therapy:CPT) を適用するための治療プロトコル及び研究手順書を用いて,臨床試験を開始した(jRCTにて研究計画公開済。jRCT1030210374)。 試験は国立精神・神経医療研究センター倫理委員会の承認を得て(審査受付番号:A2021-061),2021年08月11日より開始した。PTSD/AUD患者12名を対象とし,単群前後比較のデザインにて,通常治療に加えてCPTを実施することで,介入の安全性と有効性を探索的に検討することを目的としている。 試験への参加者を募るための広報活動として,国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターのホームページにて,試験の情報を公開し研究参加者の募集を行なった。その結果,本年度中の実績として,本試験への参加に対して1名の紹介があり,全1名が登録となった。 研究成果としては,第20回日本トラウマティック・ストレス学会において,シンポジウム「エビデンスに基づくPTSD治療の背景理論と見立て:PE, CPT, EMDRの比較」の話題提供者として発表を行い,「認知処理療法における症例概念化と治療プロセスの進め方」と題して,CPTを実施する上での留意点を論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画においては本年度は最終年度であり,臨床試験が終了している予定であったのに対し,未だ登録症例数が1例であり,目標数に達していないことから,進捗は遅れていると判断した。進捗が遅れている要因としては,COVID-19の影響により対面での心理療法実施に慎重を期さざるを得ない社会状況下であったこと,対面での介入の代替手段としてのオンライン介入を適用するには本研究の対象者はリスクが高いと考えられたために介入計画の変更が困難であったことが挙げられる。上記,COVID-19の感染拡大に伴い研究計画の変更が余儀なくされるような事態は,研究計画の申請時には想定し得なかった。そうした不測の事態に対応するために,昨年度までは臨床試験の開始を延期していたが,感染拡大防止策を徹底する体制を整え,本年度より臨床試験を開始するに至った。しかしながら,開始から約半年で紹介数1とリクルート状況が芳しくなく,予定症例数を確保するための対策が必要な状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では2021年度中に臨床試験を終え,本研究は終了する予定であったが,予定症例数を確保するため,研究期間を1年延長することとした。また現時点までの紹介数の少なさから,ホームページでの広報に加え,近隣の関係機関や介入実施施設内での周知・協力依頼を積極的に行うことにより,紹介数,登録例数の増加を図る。
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Causes of Carryover |
本年度は,臨床試験は開始したものの,未だ研究参加者候補として紹介される患者数が少なかったことから,研究コーディネーターの謝金等が発生しなかった。また,研究打ち合わせ及び研究成果発表のために計上していた旅費について,COVID-19の感染拡大防止の観点からオンラインとなったため,本年度においては支出不要となった。 次年度は,臨床試験を行う環境を整えるために必要な物品を追加購入するほか,研究コーディネーターの謝金等,臨床試験の遂行に必要な費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)