2020 Fiscal Year Research-status Report
SWAP-200によるパーソナリティ障害査定過程の日米比較研究
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19K14425
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Research Institution | Kaichi International University |
Principal Investigator |
鳥越 淳一 開智国際大学, 国際教養学部, 教授 (90635880)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーソナリティ障害 / 表象機能 / アタッチメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は米国のパーソナリティのアセスメント過程の研究を目的に1) 力動的成熟モデルによるアタッチメント査定Dynamic-Matureation Model Adult Attachment Interview と、2)パーソナリティ障害に対するエビデンスに基づく心理療法の一つである転移焦点化精神療法Transference-Focused Therapy(以下TFP)のためのパーソナリティ査定(以下STIPO-R)について直接海外の研究者から学び指導を受けた。両者はそれぞれ異なる背景を有した取り組みであるが、アタッチメント対象との関係性を基に構築された表象機能に焦点を当てたパーソナリティの評価をしているという点では共通している。現在、パーソナリティの臨床的評価は、行動や特性によるカテゴリカルな分類だけでなく、その機能水準や障害の重篤度を中心に査定していく方向性が主流となっており、その意味においても上記視点は有用だと思われた。特にKernbergの人格構造論を基盤に構築されたTFPやSTIPO-RはSWAP-200を活用した研究も多く行われているため、今後査定過程を探究していく際の一視点になりうると考えられる。本研究では、日米の査定結果に違いが生じている依存性のパーソナリティに主に焦点を当てているが、今後、依存や責任をめぐるアタッチメント対象との関係性(表象機能)の日米の差異を探究するという方向性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
このコロナ禍において、実際の臨床場面で調査を行ったり、大勢集まるところで調査を行うということは難しい状況である。幸いオンラインを通して、研究対象の検討を国内外の研究者と行える機会は増えており、研究テーマに対して海外の研究者とは交流ができており、一定水準の活動ができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
観察や質問紙を使った研究には現状限界がある。これまでSWAP-200における依存性パーソナリティ障害に関して日米で差が出ていることが判っているため、愛着と責任を中心に日米の視点にどのような違いがあるのかの仮説生成研究に力点を移していく予定である。
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